第6話 クソガキは転生の女神と会う

「ほぇ〜」

「めっちゃ豪華」

「なんで俺ここに居んの?」


エルノラに連れられ、豪華な扉がある部屋までやってきた3人。この先に転生の女神がいるらしい。


「てか全部扉で繋げれば良いのに…」

「扉付いてないせいで死ぬことになったしね〜」

「それはあれ、最近の世界に合わせて扉を設置してるの。昔は皆瞬間移動してたから、あんまり使わない部屋は扉が無いままになってる訳。」

「天界にも時代とかあるんだね」

「エルノラって何歳?」

「女の人に年齢聞くなデリカシー欠如能無し男が」

「流石に言い過ぎだろ泣くぞ?」


いつも通り喧嘩していると、エルノラがパンッと手を鳴らして言った。


「はいはいそこまで。早く部屋に入ろ?多分中で待ちくたびれてるから」

「仕事しろ」

「これも仕事だよ」

「雑用に論破された…」

「しばくぞ」


とんでもない殺気が向けられているのを感じつつ、悠太は扉に手をかけた。


「もう入っていい?」

「…いいよ」


言質を取ったため、無駄に豪華な扉を押す。それは見た目通り重く、初めは全く動かなかった。が、啓人と紗耶も一緒に扉を押したことで、ゴゴゴっと音を立てて開いた


「重過ぎでしょ。時代に合わせたとは?」

「あくまで天界の時代にね?人間の時代には合わせてないから」

「うぉ〜スゲぇ」

「ふぇ〜キレー」

「ん?」


3人が部屋の中に目を向けると、そこには先程と同じ真っ白な部屋があった。しかし明らかに目を引くポイントがあり、それは数十メートルに及ぶ巨大な鐘だった。


「鐘?」

「あの鐘は転生の女神様の権能に由来してるんだよ。」

「でっか〜!」


巨大な鐘に呆気にとられていると、鐘の下に誰かが居ることに気がついた。ゆっくりと近づき、話かける。


「あなたが転生の女神様ですか!?」

「ちょっと紗耶。興奮し過ぎだよ。」

「ゆーちゃん…こんな…なんか凄い人!興奮しない訳ないよ!」

「落ち着け暴力女」

「殺す」

「対応違い過ぎるだろ」


失礼にも初対面の人…神の前で漫才をしだす3人に、その誰かはクスっと笑った。


「ニアから話は聞いてたけど…面白い人達ね。」

「……!」

「お、おぉ…なんていうか…」

「声キレーー!!!!」

「うっるさ…」

「鼓膜破れるかと思った…」

「ふふっ」


可笑しそうにケラケラと笑う女の人。そして何故か天界に来てからずっと目をキラキラさせている紗耶。あまりのうるささに耳を閉じる啓人と悠太。放置されるエルノラ。


「ふふふ…ふぅ。…さて、あなた達がニアの言っていた3人ね?自己紹介が遅れたわ。私は転生と祝福を司る女神アルファミーラ。気軽にアルって呼んでね。」


アルファミーラと名乗った女神は思わず感嘆が漏れるほどの美人だった。透き通る青い髪にオレンジに近い目。ドレスの様な服に身を包み、スタイルの良さが伺える。そんな女神はスッと手を前に出し、まるで水を掬うかのように丸めた。すると手から色とりどりの光が飛び出し、やがてそれは空に浮かんで花火となった。


「わぁ〜…」

「すっげぇ!」

「…どう言う原理?」

「細かいことは気にしないで。魔法はなんだって出来るんだから。」

「へぇ〜」


それから少しばかりの時間続いた花火は、アルが手を下げると同時に儚く消えた。


「さて、皆の名前は聞いているから大丈夫よ。さっそく本題に入りましょうか。確か神にするんだったよね?」

「そうらしいです」

「ありがたいわ。正直私の部署だけ人が多すぎて申し訳なかったのよねぇ」


アルは申し訳無さそうな顔で苦笑いする。漫画の影響で自分の部署の労力ばかり増えることに気まずさを感じていたらしい。


「じゃあ説明始めるね。神の仕事は部署ごとに違っていて、色々あるんだけど。まずはニアちゃんの部署【裁き】、私の部署【転生】、戦神ハルティアの【神の裁きジャッジメント】とか…まだまだあるけど、こんな感じかな。」

「いっぱいある…頭痛くなってきた」

「早いだろ低脳」

「…もう低脳で良いかも」

「紗耶。啓人が本気で泣きそう」

「ふ〜ん。ねぇねぇアルさん。私達は神になったら何をすればいいの?」


啓人のことはフル無視で行くらしい。とんでもない暴君である。


「そうねぇ…」


そう言って悩んでしまったアルに、エルノラが話しかける


「それなら一旦見学する時間を設けて、その間は個人世界の運営をすれば良いんじゃないでしょうか?」

「ふ〜む…採用!じゃあそういうことで、神になった後に3人で色々部署を回ってみて。それでやりたい仕事の部署に入れば良いわ」

「は〜い!」

「さっきまで暴言吐いてたとは思えないな」

「…何か言った?ゆーちゃん」

「いや…何も?」

「そうだよねぇ〜」


思わず目を逸らし、冷や汗が止まらなくなってしまった悠太は急いで話題を変えた。


「えっと…神様って人間とどう変わるんですか?」

「違い?そうねぇ…簡単に言うなら存在の格が違うわね。多分私があなた達の居た地球に降臨したら、辺りに一瞬で緑が増えるわ。」

「?どういうこと〜?」

「神には神力って力があるんだけど、より上位の存在になるほど神力の量が多くなるの。神力には領域に作用する力があって、それで私の場合は草が生えるってわけ。」

「私の場合はってことは、他の神だとまた違った作用になるんですか?」

「そうね。最近流行りの魔力と似て、神力にも属性的なものがあるの。といっても魔力よりも幅が広いけどね。分かりやすいのだと炎神とかね。神力は炎の属性を持っていて、この場合辺りが焦土になるわ。」

「なるほど…」


正直啓人と紗耶はあまり理解出来ていなかった。ただの小学生に教える内容にしては難しい過ぎるため、それも仕方が無いと言えるかもしれないが。


「さて、神と人間の違いは分かってもらえたかしら?」

「あ、あんまり…」

「ちょっと難しいかも…」

「後で教えてあげるから。」

「ありがとゆーちゃん!」

「悠太…俺の頭脳よ…」

「違うからね?」


考えることを放棄したらしい啓人に悠太がツッコみ、それを紗耶が眺めている。紗耶の目が呆れていることを除けば普通の光景だ。もっとも3人にとってはいつも通りである。


「質問は以上で良いかしら?まぁまだまだいっぱいあるだろうけど、それは神になってからおいおい考えて行けば良いわ。」

「助かります」

「あざーす」

「感謝くらいちゃんとしろカス。アルさんありがとうございました!」

「ふふ…それじゃあそろそろ転生させちゃうわねぇ…希望の権能はあるかしら?」

「そんなの決められるんですか?」

「あくまで参考程度にね。できるだけ希望通りにするけど、強すぎる力はセーブしないといけないし。」

「ちょっと考えます。」


なかなかスムーズには行かないが、3人は丸くなって作戦会議を始めた。


「権能だって…どうする?」

「そもそも権能ってなんだ?」

「ニアさんとかアルさんみたいな〜を司る神だ!ってやつじゃない?」

「何の神様に成るかってことでしょ?……!あはっ!思い付いちゃった〜♪」

「早いな紗耶……よし!俺も決まった!」

「えぇ…僕まだ決まらないよ…うーんと…」

「悠太のやりたいことから決めたらどうですか?」

「私もそうやって決めたー!」


エルノラの助言を踏まえて考え直し、少しの間ウンウンと悩んでいた悠太は、突然顔をガバっと上げた。


「よし…決めた」

「お、決まったか〜」

「それじゃあ皆の希望する権能を教えてくれるかしら〜」



「僕は──」

「俺は──」

「私は──」



────────────────────

お久しぶりです。ゆーれいです!

リアルが忙しくて全然書けないけど、この作品は3000字程度にしているので暇な時間に書けて良いですね。


考えてる展開はあるんですけど、そこまで持って行くのが大変なんですよねぇ…結構その場のノリで書いてるので、色々齟齬が出てくると思いますけど…まぁ温かい目でご覧ください。


ぜひぜひフォローと★もお願いします〜


それではまた


〈キャラ紹介〉

女神アルファミーラ:転生と祝福を司る神。透き通る青髪にオレンジ目の美人。漫画に影響を受けた神や天使がぞろぞろと部署に来て申し訳無く思っている。

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神様になったクソガキ3人は気ままに世界を運営します ゆーれい @unknown0325

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