第4話 クソガキはスカウトされる

「神様って…俺達が?」


突然のお願いに3人は困惑していた。それはそうだろう。自称最高神からスカウトの様なことをされたのだから。


「えっと…なんで?」

「理由はさっき言った通り人材不足だからなんだけど…」

「んと…じゃあ…なんで俺達なんですか?」

「お、ナイスアシスト&ナイス質問!」

「はぁ…」

「なんで君たちなのか…まぁ、めちゃくちゃ簡単に言ったら素質があるからだよね。うん。」

「素質?」


身に覚えの無い話に3人はさらに困惑する。


「そう素質。君たちが封印を解いた石。あれって地球担当の神が管理してたんだけど、結構凄い力が込められてるから普通の人間は封印解くなんてこと出来ないの。」

「僕達は結構簡単に取れましたけど…」

「普通の人間って神様の力、"神力"が全く無いんだよね。でもたまに、人間の中にも神になる素質がある者が産まれたりするんだ。これは他の動物も同じね?」

「ふむ…つまり僕達にはその神力とやらがあると言うことですか?」

「そう言うことだぁね。元の世界にはもう帰れ無いし、そしたら普通は転生させるか天国行くかのどっちかなんだけど…君たちは特別ってことだね。」


目の前の自称最高神金髪ロリっ娘がバチンッとウインクをしながら言って来る。


「それは分かりました…でも、そもそも何で人材不足なんですか?」

「……それは…割と人間のせい…かな?」

「え、人間?」

「人間の素晴らしい文化、漫画ってあるでしょ?」

「ありますね。僕達もよく読んでます」

「異世界のお話大好き!私も勇者になりたいっ!」

「俺も魔王なってみたいな〜」

「その異世界転生系の話が流行ったのが問題なんだよねぇ…」

「つまり?」

「転生の女神の職場が人気部署になりまして…その…最高神の私のところより人が行ってて…で、流石に入れる人数には限りがあるからって私が注意したら…う、奪いあいが始まっちゃって!それで怪我人が多く出て…今皆療養中…」


どうやら神様達も漫画の影響を喰らっているらしい。しかも転生する側じゃ無くて転生させる側の…

そしてそんな転生部署に人が流れ込んだ結果奪いあいが発生し、怪我続出。最高神であるニアの部下が激減してしまったと。なんとも間抜けな話である。


「あの…神様ってめちゃめちゃアホ何ですか?」

「悪意なくそんなこと聞かないでぇ…人間だって同じことしてたでしょ?ね?」

「それって昔の話ですよね?現代の社会ではそうそう起こらないですよ…」

「…まじ?神様遅れてる?」

「割と」

「ふぇぇ…」

「泣かないで」

「泣いてないよ。ギリギリ」


見た目相応のロリっ娘になってしまった女神ニアを戻して、悠太はさらに質問を出した。


「最後にこれだけ聞きたいんですけど…それを受けて俺達にメリットはありますか?」

「ふっふっふっ…あるとも。まず神様になると、天界を自由に探索することが出来る。瞬間移動だったりも、ちょっと練習すれば出来る様になる。」

「…うん。移動出来るのは便利だね。」

「次に、個人の世界が与えられる。存在する種族とかアイテムとか、自由に決められるよ。」

「はい!ニア様質問いいですか!」

「何だい春野ちゃん。」

「この個人の世界って私達が自分で行っても良いんですか?」

「いい質問だね!自分で行くかどうかは自由だよ。地球で例えたら、昔は神様の記録が残っているけど、現代だと何も無いよね?あれは地球担当の神がめんどくさくなったから行ってないだけなんだよね。」

「何やってんだよ地球担当…」


突然のカミングアウトに若干引く3人。


「だから、神様自ら降りるかどうかは、それぞれに任せるよ。詳しいことは後で取り扱い説明書を読んでくれ。」

「分かりました!」

「そんなのあるんだ。」

「さて、最後に…これが一番重要だ…」

「……ごくり」

「な、何だろう…」

「一番…重要…」

「そうだ。最後のメリット、それは…………










私のサイン付き世界プレゼント!!!!」


「……うん?」

「そ、それがメリット?」

「ねーねーニア様!それって何か特別な効果付いたりするのー?」

「ふむ、これまたいい質問だね。そうとも、私のサインが付いた世界は、かなり広くすることが出来るんだ!」

「かなり…」

「広く?」


普通神個人に与えられる世界というのは、大陸一つ分ほど、これでもかなり優遇されている方であり、もっと下級の神になると、国一つ分くらいだったり、一軒家が建つくらいの大きさだったりする。上級の神になると"部署"が与えられ、管理する神に部下がもらえる。例を挙げると、地球などだ。これをニアは軽く言っているが、つまりたった3人のために部署を用意すると言っていることと同義であり、特例中の特例。本当にイレギュラーな対応なのである。


「女神様。本当にあげちゃって良いんですか?」

「良いのっ!この子達は凄い神様になる予感を感じてるから!きっと将来私達の役に立ってくれるよ〜ね?どうかな?」

「そうですね…ちょっと一旦話合わせて下さい。」

「そうだよねぇ…しっかり話あって頂戴。」


ニアから許しが出たところで、3人は集まって話を始めた。


「どう?僕は正直、受けても良いと思うんだけど…」

「でもこのアホ啓人に世界の運営なんて出来ると思う?」

「思わない。」

「おい」

「う〜ん…あ、ちょっと聞いてみるから待ってて。」


そう言って紗耶は視線をニアとエルノラに飛ばし、質問を繰り出した。


「ニア様!世界の運営って3人ででも出来る?」

「うん、出来るよ〜基本世界ごとの最高神って1人なんだけど、複数でゆっくりしてたりする世界もあるし。」

「私達も3人で管理したい!」

「ん、分かった。じゃあそうしよう。」

「やった!」


思い通りに行った紗耶はニコニコした表情で元の場所に戻ってきた。


「これで解決だね!」

「まぁ…そうだね。」

「そこまで心配かぁ?」

「心配」

「心配」

「(´;ω;`)」

「さて、じゃあこれで懸念は無くなったかな?」

「私は大丈夫〜!」

「俺も無い。」

「じゃあ話を受けるってことで」


結論を出した3人は、ニアを見て言った。


「女神様。その話、受けさせて下さい。」

「私も神様になりた〜い!」

「俺も」

「うん、分かった。いや〜助かる〜…これで人材不足もちょっとはどうにかなりそうだよ〜」

「さて女神様。ここで一つ問題が。」


問題。という言葉に全員の視線が集まる。


「女神様、他の生き物から神になるには2パターンあります。力、知識、能力など、何かが神の域まで到達する事で自然と神様になるパターン。それと、転生の女神に頼んで神として生まれ変わるパターン。」

「うん、それがどうかしたの?」

「この場合3人は後者のパターンで神になるでしょう。そこでさっき言った問題です。」

「ふむ…なんだ?」

「転生はちゃんとした設備がないと出来ません…そしてここにはそれがありません…」

「……はっ!3人がここから出られないんじゃ転生させたくても出来ない!?」

「そういう事です…」


再び現れた、部屋から出られないという巨大な壁。ニアは神様に成れば瞬間移動も出来るようになって、部屋からも出られる…と思っていた。が、その肝心の神様になる方法を忘れていたのだ。結構アホである。


「どっどどどうしよう!!」

「いやまあ一応方法はあるにはあるんですけど……その、倫理的に大丈夫かなって…」

「ど、どんな方法だい?一応言ってみてくれ」

「…3人は今、生きた人間としてこの場所に居ます…なのでその…」

「なんだ?ハッキリ言ってくれ!」

「…分かりました…3人は今生きています。なので……。」

「「「うわぁ…」」」

「お前悪魔かよ!!」


部屋から出られないからデスルーラするというなんとも悪魔的発想に、ニアを含めた全員がドン引きしていた。



────────────────────

悪魔エルノラ誕生ですわ〜!

てことでども、楽し過ぎてこればっかり書いてるゆーれいです。

書いてて思ったんですけど、これが一番続きそうな感じしてます。設定考えるの楽しいですし。一応はこれからも不定期投稿としておきます。

じゃあ私はこれから転生の女神様の部署争いに参加しなければならないので。


それではまた

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