第3話 病室、私を見つめて。

 幽体離脱とかいうやつだろう。


 死んでいない、それは直感的に分かった。ただこうなったとてどうにもならないことも直感的に分かる。傍からみたら私は意識を取り戻せてないし、私が呼びかけても誰も応じない。そもそも幽体離脱って何だ?私の知識でこの状況に一番近い事象が幽体離脱であって、これが幽体離脱かどうかという答えはどこにも提示されていない。

 むしろ幽体離脱であると誰かに言われた方が幾分安心できるかもしれない、そう思った。そもそも今の自分を幽体と表すことが正解なのか、本当に離脱してるのかとか考えだすときりがない。


 まずい、どんどん幽体離脱がゲシュタルト崩壊してきた。


 幽体離脱…体離脱幽体脱脱体 離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体  離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱  離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱   脱離体幽体体離 脱体離脱幽体脱脱体    離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離幽体体離 脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体    離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離          脱体離脱幽  体幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体  離脱    体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離   体幽体体離脱幽体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱  脱離体幽体体離脱体離   脱幽体  脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離 脱 幽体脱脱体離脱脱脱離     体幽体体   離脱体離脱幽体脱脱体離     脱脱脱離体幽体体離脱体 離脱幽体脱脱 体離脱脱脱離体幽体体離脱幽体離脱幽体   脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽 体脱脱体離 脱脱   脱離体  幽体 体離     脱 体離脱幽体脱脱体   離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱 脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱   幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽   体体離脱 体離脱幽体脱脱体離脱脱脱  離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離 脱幽     体脱脱体離脱脱脱離    体幽体体離脱 体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体  幽体体  離脱体離脱  幽   体体離脱 体離脱幽体脱脱体離脱脱脱  離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離 脱幽     体脱脱体離脱脱脱離    体幽体体離脱 体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体  幽体体  離脱体離脱  幽   体体離脱 体離脱幽体脱脱体離脱脱脱  離体幽体体離脱体 離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離 脱幽     体脱脱体離脱脱脱離    体幽体体離脱 体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体幽体体離脱体離脱幽体脱脱体離脱脱脱離体  幽体体  離脱体離脱  幽体脱脱体離脱脱脱離  体幽体  体離脱幽体離脱体離脱幽体脱    体離脱脱脱離体幽体体       離脱体離脱幽体 脱 脱体離 脱脱脱離 体幽体体離 脱   体離脱幽  体脱 脱体離脱脱脱   離体 幽体体離脱 体離脱幽体 脱脱体 離脱脱脱 離体  幽  体体離 脱体離脱幽     体脱 脱体 離脱   脱脱 離 体幽体  体離脱 体離脱幽 体脱 脱体 離 脱 脱脱 離 体   幽体  体離  脱幽      幽  体  離 脱。


 あ、ああ、あああ。こんなこと考えても意味すら意義すら無いのに。訳も分からず、ただ脳を焼かれるような痛みに襲われる。


 今すぐにでも意識を閉ざしてしまいたい。出来ることならもう一度眠りについて自身の体で目を覚ましたい。それが出来ないなら私は死んだも同然だ。でも死は感じない、命が絶たれた感覚はない。


 私は生きている。これは疑いようのない事実だ。自分のもしかしたらどうにかなるかも知れない。そうだ、戻ればいいのだ私は目の前にいる自分に向けて足を進める。奇妙な感覚だ地面を歩いているようないないような、でも確かに踏みしめて前に進む。その瞬間私は何かに弾かれたように後ずさる。


 私が、私に拒まれた…!?


 精神が、肉体に拒まれた。ように感じた。そんなことあってはならない筈だ、だって私の身体だから私が私が入ってなきゃおかしいでしょ。


 ねぇ。


 寝ている私と、うつぶせている兄とを交互に見て頭を何度も横に振る。しだいに疲れ呆然とただ立ち尽くす。

 直後、肉体が起き上がる。そして私と目を合わせた。その目は私ではなく私の向こうを見つめていた。まるで窓の外の空を眺めているみたいに。何故だろう精神はここにいるのに何で肉体は起き上がったのだろう。


 しばらくするとうつぶせている兄を見つけて目を丸くする。肉体は兄を起こそうとしたのか体をゆする。しかし兄は起きなかった。肉体によって仰向けにされた兄は、石谷治優は気絶していた。

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