第11話 僧侶③

 前略、女僧侶シスターカゴメは闇堕ちしています。



***



 唐突に女僧侶シスターカゴメが笑い始めた。


「ふふ、ふふふ、ふふふふ……ふ──けほっけほっ!」


 そして唐突にせていた。


「大丈夫?」


 魔法使いキューピーが訊くと、カゴメはしっかりと呼吸を整えたあと、言葉を続けた。


「ふふふ、えっと……もう神とか戒律とか体を洗う順番とか知りませんわ。わたくしわたくしのしたいように生きるのですわ」


「体の洗う順番に神様関係ないでしょ……で、なにをするつもりなの?」


わたくし、この戦いが終わりましたら──禁断の遊びにきょうじることにいたしますわ」


 キューピーは少し考えてから言葉を返す。


「へえ、禁断の遊びね。カードゲームかな? ポーカーとか、ブラックジャックとか」


「カードゲームではございませんわ」


麻雀マージャン? チンチロリン? 丁半ちょうはん?」


「キューピー様。どうしてそのようにすさんだ遊びばかりを思いつくのですの?」


「慣れているから──じゃなくて、禁断の遊びというからにはギャンブルなのかと思って」


「ギャンブルだなんて! そんなこと……お母様に怒られるのが怖くてとてもできませんわ」


「神には叛逆するくせにママには逆らえないんだ……。じゃあ、どんな遊びをするつもりなのよ」


「ふふふ、暗黒で世界を支配するおぞましい遊び──人はそれをオセロゲームと呼びますわ」

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