第3話 勇者③

 しばらくすると、また勇者ハインツが口をひらいた。


「俺、この戦いが終わったら──ずっと昔に犯してしまった大きな罪を告白して、償おうと思うんだ」 


 なにを言うつもりなの!?


 魔法使いキューピーは死亡フラグの気配を感じて慌ててハインツをめようとするが、それよりも早く彼は言葉を続けてしまった。


「姉が冷蔵庫に入れていたプリンを勝手に食べて──姉が泣いても知らないふりをしたんだ……」


 キューピーは指先に炎をともした。それは空気を焼きながらゆらりゆらりと揺れる。


「この戦いが終わったら、お姉さんに代わってあたしがあなたを裁こうと思うの。死刑よ」

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