第壱章:混乱

第一話:1560年(永禄3年) 桶狭間

何かが頭の上から落ちてきた。水みたいなものが。

家には屋根があるはず。しかも鍵は自分しか持ってないから入ることもできない。

ならこの全身を濡らす水はなんだ?そう思って眼を開けるとどこかのもりのなかだった。

「は?」と思わず言ってしまった俺は悪くない…はずだ。家のベッドの上で寝ていたはずなのに森の中にいるのだからしょうがなかろう。

とはいえずっとここにいるわけにもいかないので耳をすますと近くから声が聞こえた。

しかも大勢の。

誰かいると思い声の方向に向かうと、そこで見たものに俺は絶句してしまった。

頭がおかしくなったかと、そう思ってしまうのも、むりはなかった。

なぜならそこでは、馬に乗った人や旗を持っている人が、武器を持ち、殺し合っているから。こんな光景、現代人である俺には理解ができなかった。


その旗をよくみると、織田の家紋と今川の家紋が描かれているではないか!

俺は気づいた。ここは桶狭間、そして、今は桶狭間の戦いの真っ最中であると。

無理にでも解らされた。戦国時代に、タイムスリップしてしまったことに。


さて、ずっと見ているといつのまにか織田軍が勝鬨をあげているため、今川義元は討ち死にしたらしい。

そして俺はこの光景を見て思った。「どうにかして生き残らなくてはならない」と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る