No.7
アパートに戻ると、電気を点ける事も忘れて、僕は床に座り込んだ。ただ、訳もなく涙が止まらなかった。
不意に携帯が光った。一件の受信メール。フジからだった。
「さっきは悪かった。お前が一番分かってるのも知ってる。ただ、話がしたかったんだ。」
フジからのメールを読んで、また涙が止まらなくなった。そうだ、フジの言う通りなんだ。僕はこの世界を諦めていた。期待したって、どうせ裏切られる。夢見る事程、馬鹿げた事はない。それでもなんて思って、結局は繰り返し。そうやって、今日に辿り着いたんだ。
正直、生きていくのが辛かった。何したって、どう頑張ったって、僕はみんなに追いつけなかった。死にたいなんて、口にした事はない。でも、心のどこかで、常に思っていた事も事実だった。フジに会おうと思った理由が分かった。僕はただ、僕の事を認めて欲しかったんだ。
結局また繰り返しだ。期待したって、どうせまた裏切られるのに。未来に希望を持ったって、どうせ絶望するだけなのに。それでも次は、なんて期待している僕が居る。それで馬鹿を見たって、それも悪くないって思っている僕が居る。
真っ暗な部屋で、僕は涙を流し続けた。
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