第3話 メンバー
空手初段、黒帯。
恐らく空手ではこの街で最も強いと思う。
正直、称号とかそんなのどうでも良いのだが...だけど誰かを守る。
女性を守る為にはこのぐらい強くないと。
そう思ってダルダルの太った身体で練習を重ねた。
その結果がこれだった。
だけど俺は正直、試合とかが好きではない。
なのでまあ正直言って...黒帯とかはどうでも良かった。
でも今日...繊細なアイドルの綺羅を守れた。
それは良かったと思っている。
習得して良かったと初めて思った。
☆
「じゃあ綺羅。...帰るから」
「うん。こうくん。...今日は有難う」
「...変なヤツはいっぱい居る。気を付けるんだ」
「こうくんは変わらずだね。というかそういうのまた好きになっちゃう」
「ジョークでも有難い」
「いや」
そして私はこうくんの手を握る。
それからこうくんを見上げた。
こうくんは「???」となりながドキッとしている様だ。
私は「貴方は本当に強い。有難う」と笑顔になる。
「...じゃあまた。仕事が有るから」
「ああ。そうだな。...また会おう」
「...こうくん。本当に格好良かった」
「...ただ物を破壊しただけだ。...何も無いよ」
こうくんは控えめに私に手を振る。
私はその姿に笑みを浮かべて手を大きく振る。
それから私はこうくんと別れて帰った。
アイスのお土産を幾つかくれた。
☆
帰りの新幹線に乗ってアイスを食べてから私は近所の不動産屋に来た。
何をしに来たのかというと家を買う。
というかアパートを借りたい。
何でかといえばこうくんの傍に居たい。
それだけが私を動かす信念だった。
私は不動産屋にお父さんと一緒に来た。
それで契約してからアパートに住む事になった。
こうくんの近所のアパートである。
偶然だがその場所が空いていた。
「全く。動くとなったら直ぐ動くからな」
「そりゃそうでしょ。やっぱり好きな人と一緒に居たいしね」
「耕さんの事はやっぱり好きなのか」
「そだね」
私はお父さんと一緒に歩きながらそう会話をする。
たまたま今日がお父さんが休みだった。
そして私はお父さんと別れて事務所に戻る。
するとそこに早乙女マキ(さおとめまき)が居た。
5人居るヴィーナス・メモリーのメンバーだが。
フードを活躍してない時は常に被っている。
そして...笑顔が作り笑みばかり。
可愛いんだけどなぁ。
「...」
何というか何を考えているか分からない。
私と早乙女マキはあくまで上辺の感じの関係。
だから喜ぶとしてもあくまで上辺だ。
私は早乙女マキを嫌いでも好きでもないが...。
そして周りを見渡すと手を振っている人物が居た。
同い年の女子。
名前は紗千香という。
横芝紗千香(よこしばさちか)だ。
恐らくヴィーナス・メモリーの中では一番仲が良い。
目が悪いので丸眼鏡をかけている。
そして笑顔の絶えない様なツインテールをしている。
「どこ行ってたの?」
「うん。私の好きな人の所」
「...へ!?」
「私、好きな人が居るの」
私は包み隠さず暴露した。
するとガタァンと何かが落ちる音がした。
それは早乙女マキがスマホか何かを落とした音だった。
何だ今のは。
「で、でもす、好きな人って何?綺羅。好きな人が居るの?」
「うん。私、好きな人が居るよ」
「そうなんだ...つ、包み隠さないから驚愕」
「そんな事を仲間に包み隠す程...私は嫌じゃない」
そうして居るとトイレが開いた。
それから「スッキリしーたー!」と山渕炎(やまぶちほのお)が出て来る。
八重歯が特徴的な褐色肌の女の子だ。
一言で言えばライオンみたいな感じの子である。
「もー!!!!!女の子がスッキリとか言わない!」
「おう。まあそう言うな...あれ?キラキラ。戻って来ていたんだな!」
「そだねー」
そして「そうかぁ!」とニカッとするほーちゃん。
私は苦笑しながらその顔を見ているとバァンと事務所のドアが開いた。
そこにストライプパンツの女子が...ぅぉ!?
飯淵智子(いいぶちともこ)。
ヴィーナス・メモリーの最後のメンバーだけど。
「もー!!!!!」
「パンツぐらい見られてもへーきへーき」
「女の子が言う言葉じゃない!」
「むしろパンツを見られて...うへぇへぇへぇ」
実際、物凄い変態。
そう思いながら私は智子を見ていると智子は私のスカートを捲った。
それからズボンを勢い良く脱がせ。
「ほほう?今日も赤の縞柄ですか」と言った。
もー!!!!!
「もう!えっち!」
「私は女子のパンツをコレクションしているから」
「どこぞの変態おっさんかアンタは!」
「紗千香~貴方はぁ?」
「貴方はぁ?じゃないよ!私は脱がないからね!」
この5人でヴィーナス・メモリーだ。
まあヴィーナスというよりかは...女子高生の集まりの様な感じに見える。
本番が無かったら、だ。
まあ現代の女子高生の女子ってこんな感じだし...もう慣れたけど。
「まあ話は戻るけど。...きらちゃん」
「...ん?」
「今日はパンツでも誰かに見せに行ったの?」
「そんな訳無いでしょ...智子」
「うーん。おもろない」
おもろないって。
そう思いながら私はジト目で智子を見る。
変態め...。
まあそんな5人でこのヴィーナス・メモリーは出来上がっている。
だけどその中でも身に染みているが分かる事がある。
たった1つの事。
それは...紗千香以外は私達の意思はバラバラだという点だ。
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