第22幕

今年も夏が来た。

気怠い空気と高い空を連れて、またこの季節が訪れる。

熱を帯びた昼下がりの空を見上げる。

7月の空は今日も晴天で、嫌味なほどに潔癖だ。

今年は暑くなるだろう。


不意に、初夏の日の一場面を思い出した。

May Dayを迎えたあの日、深まった新緑はどこまでも色濃く、まるで別世界だと錯覚するほどだった。

あの新緑の中に、いつかのThousand prayerも置き去りにしてきたのだろう。

届くはずのない祈りは、過ぎ去る季節と共に忘れ去られていく。

そんな事を思っていると、ふと今日が七夕である事に気付いた。

窓際に置かれた卓上カレンダーの7日には、Seventh Nightと記されている。

せめて今日だけはと、誰に言うでもなく、見えない天の川へと祈った。



7月の空

May Day

Thousand prayer

Seventh Night

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

題名作文 藤原琉堵 @ryuto_fujiwara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る