第13幕
深層心理というものを、時々考える。
答えのないサイコロジックを、漠然と思い浮かべては、嘲笑する。
そんな考えを振り払うかのように、午後の街へと出かける。
寒空の下、裸の並木道を歩いていると、遠い記憶が蘇る。
いつの日か、桜咲く季節にと交わした約束は、最早また出会う事は無いと思った。
街を見下ろせる小高い丘の上に座っていると、遠く微かに、教会の鐘の音が響いてきた。
その鳴り響く鐘は、誰が為に、今日も変わらずに鳴り続ける。
その音から逃げるように、丘の上に立っている一本の木の影に隠れる。
そんな孤独かくれんぼの真似事に、思わず笑ってしまう。
また眠れない夜を過ごすのだろう。
薄暗い不眠病棟で、睡眠薬を飲んだまま、ぼんやりと朝を待っている。
□
サイコロジック
いつの日か、桜咲く季節に
鳴り響く鐘は、誰が為に
孤独かくれんぼ
不眠病棟
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