第9話 異世界転生して攻略方法を分析する


  「ほう、自らのゲームを始めたか」

 

 清五郎は、こちらの画面も見ているようだ。

 余裕があるというのは、対戦相手の強化内容、プレイングも見れるという事だ。

 清五郎には、余裕があり、こちらの観察まで出来ている。

 こちらは、清五郎のディスプレイを確認する余裕はない。

 そして、そんなプレイングでもない。

 これが、私のゲームプレイ。

 

 「そうでなくてはいけないな」

 「君も、特別な存在ではないとはいえ」

 「異世界転生者なんだ」

 「僕と阿佐子の遺伝子を含んでいるのもまた確か」

 「見せてみろ」

 「君のゲームプレイを」


 悪意も害意も、対戦相手への声掛けで対戦相手への妨害を行おうなんて、そんな意思はまったく感じられない。

 

 前世の記憶で、思い出した事がある。

 私は、前世で教えをこいた事がある。


 『ゲームに勝つにはどうしたらいいかしら』

 

 『対戦相手を好きになるといい』


 『私、好きなのは美少女よ』

 『相手が男の子だったら、好きになれないわ』


 『そういう事じゃない』

 『男の子でも、青年でもおじさんだとしても』

 『対戦相手なら、好きになるんだ』

 『対戦相手がどれだけ憎くても』

 『どれだけ悪人であろうとも』

 『好きになる事さ』

 『そうすれば』

 『勝つ事もある』

 『ゲームとは、そういうものよ』


 そんな話しだった。

 その教えが、前世の私が勝利に繋げられたかはわからない。

 けれど、思い出したんだ。

 何か意味があるはずよ。


 ええ、こんな、メイド少女に乱暴する下種野郎なんて、好きになれるわけないじゃない。

 私、嫌いよ、貴方みたいな人種。

 同じ人間とも思えないわね。


 赤ちゃんなので、そう言葉には出来ないけれど、そう思いを清五郎に向けた。

 清五郎が笑う声が聴こえた。


 ただ、6発目まで撃ち切ってからの回避を続けていたら、敵を倒しきれずに囲まれて、結果危険な事になる。

 ただ、途中で発射を中断していては、反撃で被ダメージが増えていく。

 そのあんばいを、どうするかを。

 敵事の反撃までのモーションの時間を。

 敵の体力とこちらの攻撃力。

 それを、考えながら、観察しながら、分析しながら、ゲームをプレイする。

 まず、小型の機体。

 耐久が低いのは見た目からも想像できる。

 しかし、反撃までの時間が早い。

 途中で攻撃を止めては、反撃を食らう。

 まず、6発目まで撃ち切ってから、次は5発目で止める。

 そして、3巡目は1発目で撃破できる。

 これが、小型機体を倒すためのひとまずの攻略方法ね。



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