第6話 私はボーナスタイムないんですか。私、赤ちゃんですよ。私、女性ですよ。優遇して下さい。女性枠で管理職やらせてください。残業は出来ません。成果出さずに育休入ります


  清五郎が、こちらのディスプレイに目をやったのか。

 どうも、このやり方であっているようだ。

 いくら清五郎が少女に乱暴するろくでもない奴といえど。

 このゲームで、小賢しい嘘をついてくる人間にも見えない。

 またそれは、清五郎の方がこの異世界でゲームの経験もあり、

俺の方が格上だという、余裕の現れでもある。


 「ここで、遅れを取っては」

 「君の勝ちは僅かにも残らない」


 助言のようだ。

 私は、このろくでもない男を信じて、助言を受け入れる。


 ゲームとは、対戦相手を信じられないで、勝てるものではない。


 ボスが、攻撃動作のような動作に入る。

 流石に、避ける以外にない。

 攻撃を避けきれず、かすり判定でダメージを食らう。


 しかし、敵の攻撃動作は覚えた。

 攻撃までの時間間隔も掴めた。

 また、ロボットをボスに密接させ、画面タップ連打で銃撃する。

 先ほどと同じ攻撃感覚で攻撃してくるのではないかと、先程の時間間隔で自機をボスから遠ざける。


 「あーあ」

 「異世界転生者さん」

 「そりゃ愚策だ」


 清五郎が、また助言を向けてくる。

 それ程に、清五郎の方は余裕を確信しているのでしょう。

 

 ボスの攻撃感覚は先程と同じだったようで、今度は私は被弾しなかった。

 

 清五郎の画面を見ると、清五郎は私よりダメージを多く食らってる。

 ここは、カスリ被弾してでも、攻撃に集中していた方が良かったのかもしれない。

 

 また、ボスに密接して画面タップ連打による銃撃をする。

 今度は、時間のタイミングではなく、ボスが攻撃動作に入ってから、回避に入る。

 当然、カスリ被弾になる。

 ボムは、残弾1あるが、多数の雑魚の処理用だろう。

 この単騎のボスに使っても、望める効果は薄い。

 

 【清五郎 1st BOSS  Destroy】


 アナウンスが、清五郎が1stBOSSを倒した事を告げる。

 やはり、2回目のボス攻撃を、早くに回避に入った差が出た。

 

 「ボーナスタイムだ」

 

 清五郎は、1stBOSSを倒したはずだが、続けて操作している。

 彼が言うように、本当にボーナスタイムに突入しているのだろう。

 おそらく、私が1stBOSSを倒すまで、ボーナスタイムでコインやボムを効率的に集められるんでしょうね。


 【実加 1st BOOS Destroy】


 私も、1回遅れで1st BOSSを撃破する。

 当然、遅れた私にボーナスステージはない。



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