第4話 俺達の本当の子供は特別な存在のはずなんだ


  「でもなぁ」

 「違うんだよなぁ」

 「俺達の本当の子供はさ」

 「特別な存在のはずなんだ」


 まただ。

 また、その言葉が私を突いてくる。

 私は、特別な存在じゃないと。

 何度、そうやって、私を傷つけるのでしょう。


 「清五郎」

 「それでも、私が産んだのよ」

 「せっかくだから」

 「生かしてあげましょうよ」


 彼女は、私を生かしてあげようという意思らしい。

 せっかくだからという言葉はどうかと思いますがね。


 「おい」


 清五郎は、少し考えるような仕草をした後、誰かを呼ぶような言葉を出す。

 私が呼ばれたんでしょうか。

 でも、なんだか違う気がする。


 「メイド」

 「そこにいるんだろう」

 「出てこい」


 どうやら、呼ばれているのはメイドだったようだ。

 この家庭は、メイドを雇っているなら、経済的に余裕はあるという事なのかしら。

 

 「お呼びでしょうか」


 少女が、姿を表す。


 「お呼びだと」


 清五郎が、怒りをあらわにし、少女メイドの首を掴み、持ち上げる。


 「お呼びしたのは、君だろうが」


 清五郎は、メイド少女を壁に下投げで投げつける。


 分かった。

 この男は、ろくな奴じゃない。

 

 「君以外、こんなのをお呼びはしない」

 「君が、彼女をお呼びしたんだ」


 私がこの異世界に異世界転生してきたのは、あのメイド少女によるものだという事かしら。


 清五郎が、メイド少女に近づき、倒れているメイド少女の腹に蹴りを入れ、壁に頭を叩きつけられる。


 収める怒りがない。

 

 GAME。


 まだ生まれたばかりなので、そう言葉を発する事はできないが、そう意思を示した。


 なら、ここがどれだけ条理の通らない不条理な異世界であろうと、

この条理だけは通されるのである。


 スマホが現れる。

 これは、コントローラーだ。

 私は、スマホの形をしたコントローラーを握る。


 「GAME」


 阿佐子が、止めるような言葉を発し始めたが、それよりも先に、

 清五郎がGAMEと言葉を発する。


 清五郎も、スマホの形をしたコントローラーを握る。


 【ゲームが承認されました】



 「やめなさい、清五郎」


 阿佐子が、止めようとするが、止められるわけがない。


 【GAME START】


 アナウンスが、流れ、ゲームが開始される。

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