第11話 クタクタ帰宅だよっ! お母さん!

玄関の開く音(SE)


「おっつかれサマー!!」


「わわわっ! なに! なんでいきなり怒ってるの!」


「職場にいきなり来るなって! そりゃあ、お母さんなんだから行くでしょ!」


「よーく覚えときなさい! 世の中のお母さんは基本的に子どもの職場には一回は侵入するものなのよ! スーパーだったらお客さんとして! 企業だったら取引先として! 飛行機のパイロットだったらCAとして! それぐらい心配してるの!? この気持ちがわかる!」


「この世のものとは思えないほどの冷めた目をしてるわね……クタクタだから相手にできないって? まぁ初日だものね」


「お風呂湧いてるから先に入ってきなさい。その間にご飯の用意しておくから」


「お風呂入るのも疲れて面倒くさいですって? しょうがない……じゃあお母さんが一緒に入って背中を流してあげましょう! こんな事もあろうかと水着を買っておいてよかったわ!」


「なんで嫌がるの! あっ! ちょっと!」


―――――――――――――


お風呂場のドアを叩く音(SE)


「開けなさーい! 背中を流させなさーい! もう、お母さん服の下に水着を着てて準備万端だったのにぃ!」


「もー!!!!」


お風呂場のドアが開く音(SE)


「もぉぉぉぉぉぉ! 急に開けないでよ!」


「え? そんな恥ずかしがってるのに一緒に入れないだろうって? ふっふっふっ!」


「パンパカパーン! 貴方用の水着ぃ! これを履けば一緒にお風呂に入っても 大丈夫!」


「さぁ! すぐに履きなさい!」


お風呂場のドアが閉まって鍵がかけられる音(SE)


「どうしてよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


「ふむふむ、これは予想外の展開ね……しかし、母の愛を侮ってはいけないのよ……!」


「ふふっ、これがあれば勝てるわ! ラバーダック! なんと泳ぐだけでなく七色に光る凄いアイテム!」


「これを見たら、さすがにあの子も心を開いてくれるはず……」


「これを見て! お母さんが持ってきたおもちゃよ! 一緒に遊びましょう!」


「このラバーダック、実はね、七色に光るんだって! 」


カチッ・ラバー・ダックのスイッチを入れる音(SE)


「わおっ! ね、素敵でしょ? じゃあ、お母さんも一緒に入ってもいいかしら?」


鍵が開く音(SE)


「ふっふっふっ作戦成功……」


ドアが開いた後にすぐに締まり鍵が閉まる音(SE)


「ダックちゃーーーーん!!! 何でダックちゃんだけお風呂にいれるのよ! 開けなさーい! ダックちゃん返してー!!!」

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