第9話 初仕事だよっ! お母さん!

「にしても……よく合格したわね。いや、お母さんが言うことではないかもしれないけど……嬉しいのよ。うん。でも……あのドタバタ騒動の後の面接だったから……」


「気を取り直して! 今日は初出勤日ね! いい? 店長さんの話をよく聞いて、初日だからって迷惑かけないようにしなさい! お店の人たちも一緒に働くんだから、まず朝の挨拶は笑顔で頭をきちんと下げるのよ! 一回お母さんで練習してみなさい! はい! どうぞ!」


ボソボソ音(SE)


「そんな小声じゃ聞こえません! もう一回!」


ボソボソ音(SE)


「なんにも変わってない! いい? お母さんが見本を見せてあげるから、よく見ておきなさい!」


「おっはようごっざいまーす☆」


「なにそのドデカため息! これぐらい明るくしたほうが好印象なのよ!」


「『だから最初に来た時パンパカパーンって言ってたのか?』そんな細かいこと覚えてないわよ!」


「はいっ! もう一回!」


「……ぶふっ! ごっ……ごめんなさい……やっぱり普通に挨拶していいわ……ちょっと見ていて痛々しい……ぶぷぷっ……」


「さっ、もう家を出る時間でしょ? 玄関まで見送るから」


「はいっ、いってらっしゃい。これ、お弁当ね。あんまり張り切りすぎないようにね。午前中で疲れちゃうから」


「いってらっしゃーい」


「……よしっ……行ったわね……それじゃあ、お母さんも準備を始めようかしら……うふふふふっ」

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