第36話
「 あんた今の電話 聞いてたよね」
そう言って 私の頭を撫でた。
「ごめんなさい」
「 別にいいけど」と言う 無表情の顔が 怖かった。
……あんちゃんの大馬鹿!!!
昔みたいに、簡単に夏姉は私に手をあげなくなった。 そうは言っても 皆無になったわけではないけど。
夕方公園から2人が帰ってきた。
「ただいまぁー!」
「おかえり~」
屈託のない 笑顔がとても可愛い。
「あれ、クミは?」
「玄関にいるよ、ドロンコしてる」
また服を泥だらけにしたんだと、すぐに分かって 私は急いで玄関に行った。 案の定 上から下まで泥だらけになっていた。
「コラッ!クミ! そんなに汚して!またママに怒られるよ」と、きつい口調で言い、頭をひとつ叩いた。「だってぇ~」と、べそをかいている顔、私は好きだ!可愛い。勿論それを 見たいから 叱ったわけじゃない。
物音を聞きつけて夏姉が、玄関に 顔を出した。クミの顔が 一気に、こわばった……「ママごめんなさい」 その声は震えていた。
「ゆり、 後は私がやるから 向こうに行きなさい」私は、素直に部屋に戻り玄関から離れた。あの電話の後なんて、まが悪すぎるよクミのバカ……
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