第28話

正座している私の足は 限界だった。 だけど 足を崩すわけにはいかないから、必死で耐えていた。

「ねえ、ゆり、 女の子が男の子と一緒に遊ぶのは悪いことではないけど、女の子が自分の服を濡らして 遊んでいるのは、 みっともないことよ」と言いながら、夏姉は リビングの椅子に 座って 私を見下ろした。

「 ごめんなさい」と 言いながら、

さりげなく 夏姉の手を 確認した。 何も持ってはいなかった。

あぁ 良かった!素手でぶたれるんだなぁと安堵した。

「な~に? 何も持っていないわよ、私の手持ちを 見るなんて 随分と余裕があるのね~」

すごい まずい馬鹿だ!私!どうする? あああ…手遅れだ。

「いい?ゆり!服を 汚すのもダメ 濡らすのなんてもってのほかよ! 体のラインが 張り付いて見えるほどに濡らすなんてありえない!」

「ご、ごめんなさい!」

もうすでに 正座している 私の全身は震えていた。何も始まっていないのに……

「 はしたない 子供は私は好きじゃない! 私好みではないのよ。また私を 怒らせたわねぇ~ それも お客さんがいる目の前で、 あんなに 濡れるなんてっ!」

どうしよう 後悔してももう遅い 怖さのあまり 目眩がしてきた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る