第23話
「だから、あんたは甘過ぎで隙がありすぎなのよ」
「うるさいなっ、あんたに言われたくないしっ」
「まっ、とにかく飲んで飲んで」
「そうそう、はい、グラス持って、ね、」
今日は、朝から夏姉の友達が遊びにきていて、お酒を飲みながら、賑やかなリビングになっていた。
「だから、ようするに」
「偉そうに、何よ」
「 ビー玉 よ ラムネに入っているビー玉」
「 何それ」
「 ラムネに入ってるビー玉って小さい時 欲しくて 瓶 わって取ろうとしなかった?」
「あぁ、取りたかったかも」
「私も、」
「うん、私も」
「 それでやっと取れたビー玉なのに、 取り出しただけで満足して後は、ほったらかし、 自分のものにしようと思って取り出すんだけど あとは興味を示さない 」
「取り出すかぁ……」
「ん~ビー玉と男ねぇ~」
「本当っ……割って2人の玉…とり出してやりたい」
「バカ!取り出すまでが、楽しいのよ」
「まっ、腹も立つよね、気持ち分かるけどさぁ」
「でも、そっちに向かって気持ち固まったんだから、ねっ」
「ゆりちゃん…夏実が居なくなったら、大変だろうね、精神的にもさ」
「人気者の彼と結婚して、こんな家に住めて、あんたに懐いている子がいて、夏実の中では、もう取り出した後なんじゃない?」
「なっちが、旦那様に飽きた…かも?」
「なに、なに、もしかしてぇ?あらたな愛が、どこかにあったりして?」
「ねっ、どうなのよぉ」
「ん~、ぉもちゃ……が、」
「はぁ?何?聞こえない、なんて?」
今朝、私はキッチンからくる匂いに唾を飲み込みながら、リビングで朝勉をしていた。ご飯よっ!と呼ばれるのを待ちながら、なのに声はかからなかった、それどころか今日は夏姉が私を、呼ぶまで2階に居なくてはいけない。
もうお腹空いて胸が気持ち悪い、吐きそうだ。その時やっと、下に来て友達に挨拶するようにと、階段で夏姉の大きな声が響いた。
あぁ、なんか、食べれるっ!と急に元気になった。
「おっ、ゆりちゃん」
「お邪魔してまーす」
「少し背のびたね、なんかお姉さんぽくなったよ」
みんなが笑顔いっぱいで私に、声をかけてくれるから、私は挨拶のタイミングを逃してしまって、ただただ愛想笑いをしていた。我ながら不器用だと思いながら。
「いったぁ」夏姉の拳骨が落ち、私は慌てて挨拶をした。
「夏実はスパルタだなぁ、まったく」
「うるさい姉さんから離れて、私の横にチョット座って話そう…ゆ~りちゃんっ」と呼ばれ、私は喜んで横に座ってニッコリした。
「これ、美味しいから、食べてみて」と、私は大人むけの菓子を持たされた。
「いいわよ、食べなさい」と夏姉が言ってくれて、目頭が熱くなった。
「なに、なんかあったの?」
「いや、何もないわよ。ねぇ、ゆり?」私は、即座に「無いよ何も」と答えた。
そして私も仲間に入り、そのまま夜になっていった。楽しい夏休みだ。
夏姉笑ってる!良かった!この中で1番だよ!夏姉きれいだ!好き。
みんなが帰り、急に静寂したリビングは、なんだか落ち着かなかった。
違う、そうだ、私、怒られるんだった。どうするどうする……来た。
夜風に当たると、庭にいた夏姉が戻ってきた。
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