第22話

「なんて下品な格好するの!そんな子は、部屋に入れないから、あんたは今日1日ここにいなさい!」

「そもそも、どうして、お尻まで痛いのよ?まったく」

下品?なことしたのは夏姉じゃん!と腹が立ったが、口答えしたら怒られるし我慢した。

夏姉は、私を玄関に放り出したまま、部屋に戻っていった。

夏姉のバーカバーカと、私は何度も部屋の方を見て小声で言った。

お腹減ったなぁ、もう、11時だよ、喉もかわいたし、暑くなってきたなぁ……あぁ誰か、チャイムならして遊びに来ないかなぁ…と、思いながら、うろうろ歩き回っていた。2階いっちゃうかな、無理だ怖くてできない。言い付けは、守らなきゃ……


ドアが開いた!夏姉が睨みつけてきた。

私はビクッとして咄嗟に「ごめんなさい」と言っていた。

「暑いから、こっちに入りなさい」と部屋に入れてもらえた。

「涼しい~~っ」

「あ、いや、あの、ごめんなさいっ」気が付いたら、また謝っていた。

「ご、はん」と夏姉が、テーブルを指さした。

「うんっ」と早足で席につき、

「いただきます」と、私は食べはじめた。

夏姉は、紅茶を飲みながら、こちらを見ていた。

なんか、その姿が格好良かった


「うっ~まぁ~。間違った!美味しいでしたぁ」と慌てて言い直した。

「さっきみたいな、おふざけしたら、次は許さないから」

「仏壇から、御線香もらって、つけてあげます。覚悟しなさいよ」

夏姉?まさか、忘れたの?私に何したか……

「ゆり!!!聞いてるっ!」その大声にビックリして、私は、また謝った。

おかしい、なんで私が怒られてるのさ!!!と、モヤモヤした気持ちのまま、ご飯を食べた。


「罰として今日は、1日お手伝いさせるから、そのつもりでいなさい」

「まずは、物置小屋の整理ね、1時間したら、見に来るから、 サボるんじゃないのよ!」 そう言って 夏 姉は涼しい 部屋の中に戻って行った。

せっかくの夏休みなのになぁと、ふて腐れながら仕事を始めた。


近所からは、笑う声やボールの跳ねる音が聞こえる。

……鳥の声までもが羨ましく、今、私は公園にいる。

思い切って来た!なのに、楽しいどころか、到着した途端、夏姉の怒る顔が……どうしよう…帰れないや。

そう モヤモヤした気持ちのなか、1人 それなりに 楽しく 公園を満喫していた。

そもそも何でこんな風になったのか不思議でたまらなかった。 またあの下品な、お灸を据えられるのかと思うと 身震い が止まらなかった。


夕方、恐る恐る 家の玄関を開けると キッチンの方で 夏姉が、 料理をしている音が聞こえてきた。

覚悟を決め 私はリビングに入って行った。 夏姉の目と目があった。

「物置小屋、 随分と片付いたのね~」

「 今忙しいし 明日も時間がないから、 今日のことはお預けにしておく」

「 お預けした分、きつくするから、楽しみにしていなさいね」

「それから悪い子の、ご飯は無いから、シャワーして寝なさい」

やけに冷静で いつも以上に 怖さを感じた。

怖くて怖くて 私は布団の中に入っても、なかなか寝付くことができなかった。

お昼も、夜も、食べてないから、お腹だけが、元気にグルグルグルグル鳴っていた。







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