さくらからさくらの色をわたしからわたしの色を奪っていく雨

〇〇九

 花の色は移りにけりないたづらに我が身世にふるながめせしまに 【小野小町】


春のうた。

「花」とは桜のこと。

「ふる」は“降る”と“経る”、「ながめ」は“眺め”と“長雨”の掛詞かけことば

咲き誇っていた桜の花が色あせて散るのと同じように、わたしの美しさも衰えてしまったなぁ、という内容。

作者・小野小町は絶世の美女だったと言われている。美しさでもてはやされ、美しさに自信を持っていた人物が、老いて美しさに翳りが見えてくるのは相当恐ろしかったのではないかと思われる。


 ・さくらからさくらの色をわたしからわたしの色を奪っていく雨

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