7水

「暑いですね。」

 蝉が鳴いてる。夏は迷いが多いので倍疲れる。汗が顔を伝い垂れる。

「あ゙ー!水浴びでもしましょうか。」

 背伸びする。

 ちゃぷ

 「ふぅ。少しは和らぎますね。」

 使いの着ている薄い服が透ける。使いの水の音しかしない。

「……!」

 目の前に突如子供が現れる。迷ってきたのか。片手を上げる。

 ――救ってくれると思って

「……っ。」

 手が止まる。今までそんな事無かったのに。子供はまだ、言葉をやっと理解できる程度の年齢だろう。拳が水面を叩きつける。水飛沫がかかる。

「なんで……何でこんな事になるのでしょう。」

 ――――――

 血が水面に広がる。雨が降ってきた。顔に水が当たる。水滴が垂れる。

「……?何でしょうか……。雨が空中で止まりました。」

 天を仰ぐ。水滴が空で止まっているのも気にせず、ただ時間が流れるのを待った。

 

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