第6話 心意気と流儀
へぇ、へぁ、ひゅぅ、ひゅぅ、ひゅぅ、どうだ、皆。
全身に刀が突き刺さる元春が、観客席の広島県民たちを見る。
え?
全員が切なくて、辛そうな顔をしている。泣いている人もいる。苦しそうで、震えている。
………………ああ、そうか。
「「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」」」」」」」」
観客席から歓声があがりました!!!!凄いぞ上杉謙信!!!!!!!!!必殺の登竜門を食らってなお立ち上がる!!!!!!!なんという強靭な肉体!!!!!!!流石は新潟代表!!!!軍神と呼ばれた男です!!!わたくし聖徳太子が出ていたら、すでに100回は死んでいる気がします!!!!
「「「「「「「「ハハハハハ(観客席爆笑)!!!!!!!!!!」」」」」」」」
「悪い太子さん。棄権するわ」
「!?」
え?今なんて?
「ひゅぅ、ひゅぅ、ひゅぅ、おい、何を言っている?」
「のぼせあがってたみてえだ。広島の代表になれて、西国無敗だなんてあおられて。俺はすっかり見失ってた。俺がヒロシマの人間だってことを」
「……なんだと?」
「広島は、第二次世界大戦で、世界で初めて、核兵器による攻撃を受けた。原爆ドームは、人類が犯した悲惨な出来事を後世に伝え、そんなクソみてえな悲劇を、二度と起こさないための戒めとして、今でも広島市に建っている」
「それと、其方が棄権することになんの因果がある?」
「最初から断るべきだった。ヒロシマは、未来永劫、≪非戦≫の県だ。この世の全ての争いに、≪NO≫と言い放ち、平和な道を探し続ける。俺は、そんな広島の代表なんだ」
「よく言った元春」
「!?」
おおお!!客席にいるのは、元春の父、広島を代表する名将・毛利元就だ!!!!!!
「戦国の世はとうに過ぎ、広島は、世界一、平和を願う県となった。お前の判断、広島県民、皆が支持しているぞ。そうだろう?我が広島の子供たちよ」
全広島県民の万雷の拍手と歓声に会場は包まれた。
「……では、我も棄権致そう」
「はぁ!?あんたの勝ちでいいじゃねえかよ!謙信さんよ!」
「戦は、敵があって初めて行われるものだ。其方が戦わぬのなら、我の敵は誰だ?」
「んー、そりゃなんつうか」
「敵がいないなら勝者もおらぬ、この試合、無効試合としてくれ」
「それで新潟県の人たちは納得すんのか?」
「新潟県民の為に、我は其方と死合った。彼等の信頼には、相応に報いたつもりだ」
「ありがとう謙信さーん!!」
「かっこよかったです!!!!」
「やっぱり謙信最高!!!!!」
「新潟に生まれてよかったって思えましたー!!!!」
観客席の新潟県民たちが口々に謙信に感謝とねぎらいの言葉を贈っている。
「はははは、新潟の人たちも、良いってことかこれは?」
「うむ。新潟の民は、無益な争いはせぬ。我に似てな。太子、すまぬが没収試合にしてくれ」
えええええええええ!!!!!!!ま・さ・か・のどんでん返しぃいいい!!!!ですが、両者とも棄権を宣言したので、第一回戦、没収試合とさせていただきまあああす!!!!!!!!!!!
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京都府チーム控え室にて。
「はぁ、興醒めだなぁ。途中で辞めちゃうなんて。夢に見た戦国乱世の名将たちだから期待してたのに」
そうぶつくさ文句を言う、色黒の若者。名は、沖田総司。動乱の幕末時代、京都の治安維持につとめた非正規組織の人斬り集団、「新選組」の一番隊組長を任された天才剣士であり。
京都府の代表である。
「私の相手が棄権と言いそうになったら、その瞬間首を斬りますよ。へへへ」
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気を取り直して偉人決戦四十七傑!第二回戦は!!!!!!!!!!!!!
この県だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ドルルルルルルルルルルルルルルルッ!!!!!!!!!!
ダンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
第二回戦 【 京都 VS 岩手 】
「「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」」」」」」」」
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