第2話 ユーリ=カーマイン
1567年(永禄10年)ポルトガル領インド、中央政府所在地ゴア。
アジアの全植民地を統治するポルトガルのインド総督が駐在していた発展都市デス。
ローマ教会によってサンタ・カタリナ大聖堂が建設もされ、市内には壮麗な教会や修道院などが立ち並び、ヨーロッパの都市にも比肩する勢いがアリマシタ。By神(イ〇ス・キ〇スト)
――ユーリ=カーマイン。
俺(
俺は、十字架を背負うあの人でおなじみ、世界№1知名度の神様による転生ルーレットで、16世紀の外国に生まれ直してしまった。
父親はイエズス会の宣教師、ジュリアス=カーマイン。
赤毛が特徴的な一族の為、カーマイン(洋紅色)の姓を名乗るようになったんだとか。
ヨーロッパの西、祖国・ポルトガル王国から、キリスト教布教のため、アジア諸国に宣教の任務を任されたうちの父のもと、俺ことユーリは、比較的裕福かつ不自由ない幼少期を過ごすことになる。
けどさぁ!!!!!!!!
高校のとき世界史なんて取っていないし、てか地理苦手だし、ゴアってどこだよって感じなんだけど!!!!!普通転生したら、持ち前の歴史知識でチートしたりするもんじゃないの!?インドでどう無双すんのよ!?
――はぁ。温泉に入りたかったな。
この時代のインドにはカレーすらなく、香辛料のきつい肉と米が主食で、平成の日本育ちの味覚とはあまり合わなかった。スマホもないし、ネットもないし。働かなくていいことだけは嬉しかったが、決して心が満たされることはなかった。
せっかくの新しい人生は、教会でお祈りし、勉強する毎日だった。そして20年の時が過ぎる。
1587年(天正15年)
ゴア市内、大聖堂にて。多くの若きイエズス会員である教徒たちが集められていた。
「此度、志願者を募り、ジパングの布教活動を強化することに相成った」
「え?」
大聖堂にて、イエズス会の司教である長老が宣言した。
「ジパングって」
俺は隣に並ぶ、友人のカルロスに尋ねた。
「黄金の国ジパングだろ?」
聞き間違いじゃない!!!!!!!!!!!!ジパング!!つまりジャパン!=日本!!!!!日本行けんの!?
「志願者は来月ゴアの港を出て、明のジョーセン島を経由し、ジパングのサツマ半島に上陸。陸路を進み、黄金のシティー、京へのぼる」
友人たちは顔を曇らせていた。
ゴアの生活は裕福で、インド内はキリスト教に改宗しないものは迫害されるくらい、キリスト教徒、イエズス会は絶大な権威を持っていた。地位と名誉、富もあるゴアから、わざわざ危険な海路を進み、未知の国で宣教活動をしたいなんて高い志を持った人間なんてそうそういない。
だ・け・どおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ビシィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!
「Wow!??????????」
仲間たちが一斉に、まっすぐ腕を伸ばして志願を申し出た俺を見る。
「Why!?お前そんな敬虔なクリスチャンじゃねえだろ!?いつも適当にアーメンしてんのに!」
「神の
「ユーリ=カーマイン。素晴らしい心構えです。主よ、彼に祝福を」
司教様が俺の両肩をポンポン叩いた。続くように、数人がおそるおそる名乗り出る。
みんな未知の国ジパングが恐ろしいんだろう。
でも俺は違う!!!!!!!!18年インド在住ポルトガル人やってみたけど、俺の心は純度100%日本人!!!こちとら伊達に29年日本人してねえんだ!!!!!!!日本のことも日本人のこともよく知っている!!!!!!
神様、俺もう一回日本に行きます!そして絶対に!!!!!
温泉巡りするんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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