手紙 🖊️

上月くるを

手紙 🖊️



鶸渡ることんと厚き手紙来る

巻頭は修司の句誌や秋日濃し


橋ふたつ渡れば駅や蓼の花

市街地と農地のさかひ螢草


ビル街を抜けて秋風大空へ

千余年の欅の木霊いわし雲


半分は猿に残せるあけびかな

音階を置くごとそこに山葡萄


葛咲くや温泉郷と名づけらる

開け放つ四方の窓なり実山椒


露草や雛鳥めきてポニテの子

佳きひとの横顔の美し白芙蓉


風待のコスモス見やる老婦人

出来立ての瓢の水の旨さうな


草の花いつか終はりのある愁ひ

弁慶草群れない人が増えてゐる


生家とは生れし家や渡り鳥

生涯に故郷ひとつ赤のまま


らちもなきふつうの話ぬかご飯

地芝居や求め合ひてはすれ違ふ




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手紙 🖊️ 上月くるを @kurutan

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