第一章14話『泡水散布』
決意を胸に顔を上げた
この時、
オールバックが似合いそうな、どちらかというと男性寄りの整った顔立ち。
雰囲気は面倒見のよさそうな姉御肌という感じだが、状況が状況な上に彼女の気質的に好戦的ということもあってかどこか怖さも同居している。
そして服装は赤を基調とした布面積の少ない軽装で、彼女は今まさに懐から取り出した深紅の宝石の付いた指輪を指にはめようとしていた。
そんな彼女の特徴的な容姿に目を奪われていると視線の先では指輪をはめたことで真価を発揮した、
ここにきてギアを一段すっ飛ばして上げてきた
「あたしとの闘いに足手まといを連れてきたのは失策だったなぁ。だが一方的な勝負はあたしも本望じゃない。一つ教えてやるよ、あたしの指輪
何を思ったのか、
そんな彼女の突然のカミングアウトに防戦一方だった
だが同時に彼女の言葉に
その違和感をこれまでの彼女の行動と結び付け、考え至ったのは
さらには向こう見ずな性格で目先のことしか見ておらず、
「あんた、死と恐怖が対極にあるやろ。そんだけの
「知ったことかよ! あたしがこれから咲かせる死に花はテメェへの手向け花とでも思って納得しな!!」
本質を見抜く人並み外れた
しかしそんな
込み上げる怒りをまるで薪を割るかの如くかみ殺し、口をついて出そうな言葉を焼却炉と化した心の奥底にくべる薪として飲み込む彼女だったがあるタイミングを境に彼女の様子は一変し、もどかしさに怒り心頭、爆発寸前まで膨張する。
そしてついに募る怒りが爆発し、「言葉一つでどうこうなるあたしじゃねぇよ!!」と彼女は感情のままに強い語気で突き放すように言い放つ。
そんな彼女は同時に痺れも切らし、
「わかってねぇな、
「ウチも
この期に及んで未だ講釈垂れる
怒髪天を衝く勢いで上限突破したバイブスもすっかりと冷め、しらけた彼女は語気に宿る熱はそのままに、これが最後だと言わんばかりに持論を展開することで無理やり、再度熱を宿すと間髪入れずに彼女に向かって突っ込んでいく。
「城主がそんなんじゃ殺されねぇと高を括ってるやつらがのさばる國に成り下がっちまう。それで殺しがなくなるわけじゃねぇだろうにな!」
確かに彼女の言い分も一理ある。
正否など人によって異なるもので、更に言えば相対する二人はどちらも一國のトップに君臨し、法を創る立場にある。
仮にそうでなくとも生まれ育った境遇によって
故に価値観を押し付けられたように感じた
「何も手の内を明かしてないのはお前だけじゃねェよ。面食らいな!」
それからの
懐に潜り込んでの重たい打撃、アクロバティックな動きから繰り出される高速な足技と、どれをとっても一級品、且つ野生動物の如く突出した
一方の応戦する
「……ッ!! 今度は
「はぁ…はぁ……。攻守逆転やで、こっからはウチの間合いや!
まるで己を鼓舞するかのように大声で叫び、指を弾くと
宙にたゆたう
――バシャッ!!
ジュゥゥゥウ!!
水にぶつかる衝突音と温度差による蒸発音が同時に小さく鳴り響く。
直後、
だがしかし、直前で帯熱状態に切り替えたことでで今の彼女は肌に触れる水全てを蒸発させていた。
しかしそれも織り込み済みだった
「一つ
「お前は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます