第一章13話『除け者』
「あたし相手に近接戦か、バイブス上がるぜ。肝が据わった奴は嫌いじゃねェ」
よろめきながらもどこか楽しそうな表情を浮かべ、ゆっくりと立ち上がると
拳技、足技、マナを駆使した連撃を仕掛けていく彼女だが
「一つ教えてやるよ
さっきの二人のやり取りを見ていたのだろうか。
そんな彼女の行動に
まず一つ目に、彼女のマナは零を一にすることができない。
故にマナに起因する有利不利は状況次第で覆り得る。
次に二つ目、マナを用いて増幅させた水にはそれぞれにある効果が付与される。
例を挙げるなら体内の水がベースなら、一度喉を通っているため呼吸ができる。
空気中の水分を増幅させたのならばいくら増幅しようと浮遊し続ける、といった具合だ。
しかし次の瞬間には大人の余裕にも見える風格を感じさせる表情を浮かべ、
「あんたに一つだけ
「好きに言ってな。臨機応変、順応性、即席の戦術こそあたしの強さたる
「それにしてはずいぶん情報頼みやけどウチの戦術バリエーションを甘く見んことや。あんたの強みは後者でしかないんやで」
そう言うとマナを封じられた
しかし鞘から抜かれ露になったその刀身に刃はなく、鈍器と表現するのが自然だろう。
――――刃のない刀など。
生き死にが物を言う戦場で、そんな武器を使うのは相手に対する侮辱とも取れる行為だ。
彼女の
「模造刀だと? 自慢の
「…………」
だがしかし、そんな
さっきまでとはまるで違う動きの洗練さに
しかし直線状の間合いを瞬時に潰す
「なんだありゃ? 刃がねぇのになぜ切れる……だけならまだしも身体機能が飛躍した。あの
その時、
血の一滴二滴、彼女にとってどうということはない。
まして鮮血が
――――しかし
彼女が刃のない刀に切られたことに違和感を感じていると、今度は彼女が放つマナにも異変が生じる。
「なんだこりゃ?」
突如、彼女が放つオーラのようなマナは風に揺られる炎ように不安定になり、
すると彼女は発散しているマナを体内に集約させ、体内に侵入した水分を自身の熱で飛ばしていく。
それは自身の身体を起点としている分止める手立てがないに等しく、制限のかかる
「流動、あるいは循環か? 身体機能の上昇に加えて水圧による打撃と斬撃の併用……ウザってぇ」
「そういうことや。生憎ウチはあんたと
一方で二人の様子を安全地からただ眺めていた
「お姉ちゃんが任せてくれたんだもん。私だって――」
御爛然 いなひ @inahi17
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