第一章9話『交錯する思惑』
「私たちには本来、固有のマナと呼ばれる力が内在していますがあなたはどうやらそれが微量のようです。もし、引き受けて下さるのならこの弓を受け取ってください。この弓はマナの増幅、そしてマナを変換し、矢を具現化させることができます」
シエナは弓の詳細を伝えると
しかし弓なるものを一度も見たことのない少女は
少女は小難しい説明より目の前の未知なる物体に興味を示したのだ。
――結局、矢の具現化はできていなかったが。
すると横から
「二つも内包した武器なんて初ですよ初! これってつい先日、シエナが猫の目を借りて発見したものですよね?」
「
そうは言うも、全く嫌そうじゃない
一方の
「ええ、ですが弓矢なんてここにいる誰も扱えませんでしたね」
「でも
そんな他愛ない会話で三人が盛り上がっている中、一人離れた位置で会話を聞いていた
会話に参加していた
――だがしかし、抱いた疑問を彼女が言及することはなく、一通り話が終わると彼女はシエナを呼び部屋の外へと彼女を連れ出す。
「ちょっとええ? あんた、これとは別でウチに用があったんとちゃう? だいたいの見当ついてるけど詳細聞くわ」
二人が部屋を出るとシエナはさっきまでとは一変して険しい顔つきに変わり、重たくなったその口をゆっくりと開いていく。
シエナが話すその内容こそ
――しかし彼女が話すその内容は、
「実は先日、ある人物の訃報が耳に入ったものですから直接会ってご報告をと。その方は
ただの潰し合いならいざ知らず、陣取り合戦が如く敗戦國が自陣として吸収される可能性が大いにある以上、そのことを考慮すれば彼女が焦るのも当然だろう。
故に出遅れは致命的であり、常に最新の情報を仕入れる必要があった。
しかし今、この瞬間まで一切情報を得ていなかった
「面は
「――そういうことになりますね」
シエナの話を聞いた
地上には
しかしその均衡が崩れたということは、
この時の
そんな彼女は不敵な笑みを浮かべ、呆れた様子のシエナに「相変わらず隠そうともしませんね」と言われてしまう。
考えまではわらないにしろ、表情で何やら悪知恵を働かせているだろうことを察したシエナに
そして二人は会話をやめ、
「
「ええ、いいですよ」
そんな少女の姿に
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