第一章9話『交錯する思惑』
「私たちには本来、
と、シエナは説明するが言われた側からしてみれば寒色イメージで自他ともに認めるクールビューティな彼女の方がイメージにピッタリであり、カラーリング的にも適人だと感じるだろう。
しかし武器に限らず物事には向き不向きがあり、手のひらに肉球が常時浮き出ている彼女は
だが戦線に立ったことも無ければ
そう、少女は小難しい説明より目の前の未知なる物体に興味を示したのだった。
手に取った弓ごとその手を照明にかざし、再びその手を下ろすと今度は
――結局、数回試してみても矢の具現化が今この場で成功することは一度たりともなかったのだが。
すると横から
「二つも
「
そうは言うも、押しのけようとする仕草も含めて全く嫌そうじゃない
一方の
「ええ、ですが弓矢なんてここにいる誰も扱えませんでしたね」
「でも
そんな他愛ない女子トークで三人が盛り上がっている中、一人離れた位置で従者三人の談笑を静かに聞いていた
会話に参加していた
――――だがしかし、抱いた疑問を
「ちょっとええ? あんた、これとは
二人が部屋を出ると今さっきまでしていた女子トークで華やんだ表情が一変して急転直下の絶対零度。
再び表情筋がお亡くなりになると、重たくなったその口をゆっくりと開いていく。
シエナが話す
――――しかし彼女が話すその内容は、
「実は先日、
ただの潰し合いならいざ知らず、陣取り合戦が如く敗戦國が自陣として吸収される可能性が大いにある以上、そのことを考慮すれば彼女が焦るのも当然だろう。
故に出遅れは致命的であり、常に最新の情報を仕入れる必要があった。
しかし今、この瞬間まで訳あって
「
「――と、いうことになりますね」
シエナの話を聞いた
地上には
しかしその均衡が崩れたということは、
この時の
そんな彼女はどちらが敵か分からないような、妖しくも不敵な笑みを浮かべると呆れた様子のシエナに「相変わらず隠そうともしませんね」とため息交じりに言われてしまう。
考えまではわらないにしろ、長年の付き合いとその表情から何やら悪知恵を働かせているだろうことを察したシエナの鋭い指摘に
そうして忘れかけていた本題について、話し合う時間を別枠で急遽設けた主従関係にある二人の報告会話は終了し、
「
「ええ、いいですよ」
そんな少女の姿に
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