第3話 あふたーすくーる!

 放課後になると、フーガちゃんは図書室で研究をするの。私も一緒についていったんだ。


 図書室に入ると、夕陽が窓から差し込んで、本の背表紙がキラキラ光ってるの。まるで魔法の世界みたい!


「わぁ〜、きれい…」


 私が感動してると、フーガちゃんがクスッと笑って、


「ソラちゃん、こっちよ」


 って呼んでくれたんだ。


 フーガちゃんは大きな本を広げて、真剣な顔で読み始めたの。私も横に座って、フーガちゃんの顔をじーっと見てた。


「ねぇ、フーガちゃん。その本、なに読んでるの?」


「空の浮遊原理について書かれた本よ。空石のことも書いてあるかもしれないの」


 フーガちゃんが眼鏡を直しながら答えてくれた。その仕草、なんだかドキッとしちゃった。


「へぇ〜、すごいね!」


 私は感心して、思わずフーガちゃんに近づいたの。


「ソ、ソラちゃん?」


 フーガちゃんが顔を赤らめてる。私たちの顔、すごく近いよ。


「あ、ごめんね!」


 慌てて離れようとしたら、バランスを崩しちゃって…


「きゃっ!」


「ソラちゃん!」


 フーガちゃんが私を抱きとめてくれたんだ。


「大丈夫?」


 フーガちゃんの腕の中で、私の心臓がバクバクしてる。


「う、うん…ありがとう、フーガちゃん」


 しばらくそのままでいたけど、やっと離れたら、二人とも顔が真っ赤になってた。


「え、えっと…本の続き、読もうか」


 フーガちゃんが慌てて本に目を戻す。私もちょっと恥ずかしくなっちゃって、適当に本棚から本を取り出したの。


「あれ?この本…」


 私が手に取った本から、一枚の紙が落ちてきたんだ。


「フーガちゃん、これ見て!」


「えっ、なに?」


 二人で顔を寄せ合って、その紙を覗き込んだの。そこには、青く輝く石の絵と、何やら複雑な図が描かれてた。


「ねぇ、フーガちゃん。この青い石、本当に空石なのかな?」


 私が首をかしげながら聞くと、フーガちゃんは眼鏡をキラリと光らせて答えてくれたんだ。


「可能性は高いわ。この石の周りに描かれている模様、見て」


 フーガちゃんが指さす方向に目を向けると、石の周りに不思議な渦巻き模様が描かれてるの。


「わぁ、本当だ!なんだかキラキラしてるみたい」


「そう、これはね、空気の流れを表してるのよ。空石は空気を操る力があるって言われてるの」


 フーガちゃんの説明を聞きながら、私はもっと近くで見たくなって、思わずフーガちゃんに寄り添っちゃった。


「へぇ〜、すごいね!」


 その時、私の肩がフーガちゃんの肩にそっと触れて…


「あ…」

「え…」


 二人とも、ちょっとドキッとしちゃって。でも、離れるのはなんだかもったいなくて、そのままの姿勢でいたんだ。


「あのね、ソラちゃん。この図の下の方に、小さな文字で何か書いてあるわ」


 フーガちゃんが紙をもっと近づけて見ようとして、顔を寄せてきたの。私たちの頬がほんの少し触れ合って…


「わっ!」


 思わず声が出ちゃった。フーガちゃんも顔を真っ赤にしてる。


「ご、ごめんなさい!」


 フーガちゃんが慌てて謝ったけど、私は内心ちょっぴり嬉しかったんだ。


「う、うん。大丈夫だよ。それで、その文字…なんて書いてあるの?」


 私たちは恥ずかしさを紛らわすように、また紙に目を向けたんだ。


「えっと…『月光の下、涙が輝く時、空への扉が開く』…って書いてあるわ」


「へぇ〜、なんだかロマンチックだね♡」


 私がそう言うと、フーガちゃんは考え込むような表情になって…


「そうね…でも、これが空石を見つける鍵になるかもしれないわ」


「本当?じゃあ、私たち、月光の下で泣けばいいの?」


 冗談っぽく言ったつもりだったんだけど、フーガちゃんは真剣な顔で頷いたの。


「そうかもしれないわ。でも、どんな涙なのかしら…」


「う〜ん、幸せな涙とか?」


 私がそう言うと、フーガちゃんはちょっと照れくさそうに微笑んで…


「そうかも。ソラちゃんと一緒にいると、幸せな気持ちでいっぱいになるもの」


「えっ!」


 思わず顔が熱くなっちゃった。フーガちゃんの言葉に、胸がキュンってなって…


「わ、私も!フーガちゃんと一緒だと、すっごく幸せ!」


 思わず大きな声で言っちゃって、図書室中に響いちゃったみたい。


「しーっ!」


 フーガちゃんが慌てて私の口を手で覆ったんだ。でも、その手がすごく優しくて…


「ごめんね、つい…」


「ううん、私こそごめんなさい。でも…嬉しかったわ」


 フーガちゃんがそっと手を離すと、私たちはまた目が合って…


「ねぇ、フーガちゃん。私たち、次の満月の夜に、一緒に空石を探しに行こうよ!」


「うん、そうね。でも、その前にもっと調べないと」


「じゃあ、毎日放課後、ここで一緒に調べよう!」


 私が提案すると、フーガちゃんは嬉しそうに頷いてくれたんだ。


「約束よ、ソラちゃん」


 フーガちゃんが小指を立てて。私もすぐに小指を絡ませて…


「うん、約束!」


 私たちの小指が触れ合う瞬間、なんだかすごくドキドキしちゃって。これが恋なのかな…なんて思いながら、私はフーガちゃんの優しい笑顔を見つめてたんだ。


 窓の外では、夕焼け空が二人を優しく見守ってるみたい。フーガちゃんの研究は、思わぬ展開を見せ始めたんだ。


 これから毎日、フーガちゃんと二人きりで過ごせると思うと、胸がポカポカして…すっごく幸せな気持ちになれたんだ♡

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