異天地創造
6600万年前
地球は、生み出すべき『人』を作らずに長い年月せっせと、お気に入りの恐竜ばかり作っていた。
その時である。女性神の太陽系神が、普段の優しい声とは、うって変わった天を裂く様な激しい怒鳴り声を発した。
「おい、いつまでオモチャばかり作る気だ。
ずっと我慢して、いつかはきっと、この子も心を入れ替えて、神の形に近い『人』を生み出すと思って待っていたのに。
私に相談もなく好き勝手やって、次々に化け物ばかり作って。
他の惑星も、あいつだけずるい。自分もやりたいと言い出すようになって、もう収集がつかんわ! 」
「これでも喰らえ!!」と、 今までの溜まりに溜まったストレスから、小隕石を呼び出し、思いっきりぶつけてきた。
さすがに、これはキツかった。 今までの苦労が水の泡だ。
御自慢の恐竜コレクションはもちろん、飾りに作ったシダ類巨木までもが一瞬にして消え去り地表に埋もれて、『化石』に変化する。
しかし、これでこりる地球ではない。お片付けが終わったあと。さらなる計画に取り掛かる。
こんな思いを全部、恐竜に背負わせて自分は、生物作成指示をするだけでいい。なんと素晴らしいアイデアだろう。
しかし、これは、さすがにやり過ぎだった。太陽系神の上司に当たる、天の川銀河系神が見過ごしてはくれない。
「これでも喰らえ!!」と、天の川銀河系神が叫ぶやいなや、超巨大隕石が地球を直撃し、地球は粉々に砕かれチリとなった。
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地球、死す。
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「あーーー、やってしまった。」
天の川銀河系神は、自分のカッとなりやすい性格を大いに後悔したものの、遅かった。
お調子ものの地球はいいとしても、そこにいた生き物は、生まれ滅びを繰り返す中で、やがては神の存在に気づき、恐怖や感謝から『祈り』をささげる貴重な存在となるはずだった。これなくして、神はやっていけない。
数十億年もかけて、グルグル寄り道の遠回りだったが、もう『人』にこだわらずに、すごく頭のいい恐竜で、我慢しておけば、あと一歩のところまで来ていたのに何たる事。
これを全銀河神評議会に、どうやって報告すれば良い物か。うなだれているところに、救いの神が現れた。それが異世界神だった。
異世界神は事務的にテキパキ言った。
「お困りの様ですね。報告前に、でっち上げの地球を作ってしまって、ごまかせば済むんじゃないですか。」
さすがの 天の川銀河系神も、 あきれた様子で答えるしかなかった。
「何という無茶なことを。いくら、お調子者の地球とはいえ、 膨大な年月をかけて作ったものを、たった数日で作れるはずが無いだろう。評議会は10日後だ。あり得ない。」
鼻で笑うように異世界神は答えた。
「相当、適当な奴だったんでしょ。じっくり時間をかけたというよりは、オモチャをこねくり回していたんでしょ。私なら、その仕事、7日間でやっちゃいます。」
それが認められ、異天地創造が始まる。
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異世界神は異天地創造が楽しくて仕方がない様子で、太陽系神に声をかける。
「原始地球がじっくり冷え固まるのを待つ時間はありません。
代わりに邪気の塊を中心にして、周りに発泡剤で膨らましてた泥を塗付けて、泥団子の出来上がり。まあ中心にガッツリ引力がある軽石みたいなもんですね。これで随分と時間短縮ができます。
そいつにマグマの海を作りますから、出来上がるまでに、太陽系神は地表を作っておいてください。納得のいく物ができればマグマの海に浮かべ、海水を注ぎ入れてマグマを冷してください。」
これが、のちのち大問題となる。太陽系神の仕事に完璧は無い。コンクリートをまぜるやり方で、砕けた地球から拾った化石などの材料を、しっかりと混ぜ合わせたので、全てが、まんべんなく混ぜられている。
当然ながら、石油などの 化石燃料も地表全体に、まんべんなく存在する。
この即席地球には、社会が近代化する上で重要な、エネルギー資源は存在しても、石油井戸のように一つの場所から、大量にくみ出すことができない。結果的にコストが、えらく高くつく事になった。
太陽系神は、この材料を板にぶちまけ、棒で適当に伸ばして、マグマの海に浮かべてた時に引っくり返えらないように、別に取り置きしておいた、重りに使えそうな金属類を、適当に丸めて、間隔を空けて、あっちこっちに適当に貼り付けた。
ありがたい事に、この金属団子の大きい物が、その後の日本列島となる部分に、たまたま貼り付いていたおかげで、異世界日本は、世界有数の資源大国となる。
太陽系神は、異世界神がマグマの海を完成させ休憩に入ったのを見計らって、邪気の塊が生み出す、尋常でない引力に引きずり込まれて、まだ
数ある精神エネルギーの中でも、最も上昇志向が高く、困難に負けず上へ上へと突き進む性質を持った『根性』を大急ぎでマグマの海に大量注入た。
邪気の引き下げる引力に対抗して、根性の引き上げる引力で綱引きをさせて、地表の寿命を延ばす作戦だった。
その後、半乾きのチョコクッキー生地の様な物体を、『超大陸パンゲア』と名付て、豪快に板を持ち上げ、ぐるっと反転させ板をゴンゴンたたき、マグマの海に浮かべて満足し、海水を入れてマグマを冷やす工程をうっかり忘れたまま休憩に入った。
太陽系神が休憩タイムを終えて、戻ってみるなり叫んだ「しまった!」。
チョコクッキー生地は、マグマの海に流され、無惨にも五大陸と大小無数の島に
あきれた顔の異世界神だったが、事務的な態度を崩さずに言った。
「それでは私達、
それ以降に生き残る人間たちは、どちらが作ったものになるか、運まかせですけどね。」
ケラケラと楽しそうに異世界神は笑った。
作業は淡々と進み、本当に最初の宣言通り、太陽系の元地球があった所には『異地球』が入れ替わる様に存在していた。
地球消滅はバレずに、全銀河神評議会は問題もなく終了した。
こうして、地球は異地球と入れ替わった
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