第18話

夕方、温泉にゆっくり浸かった後、莉子と里子は宿の食事処へ向かいました。部屋に戻ってきた二人は、さっぱりとした浴衣姿で、温泉で温まった体をリラックスさせながら、食事を楽しむ準備を整えた。


食事処に入ると、まず目に入ったのは木のテーブルと椅子が並ぶ落ち着いた雰囲気の部屋だった。温かみのある照明が、部屋全体に柔らかな光を届けていた。テーブルの上には、季節感あふれる美しい盛り付けのお魚料理が並べられていた。


「わあ、これが今日の夕食なんだね」と、莉子は目を輝かせながら言い。里子も頷きながら、魚の焼き加減や色とりどりの付け合わせに感心している様子だった。


食事が始まると、温かい部屋の中で、心地よい雰囲気が一層深まっていった。木のテーブルには、色とりどりの小鉢が並び、目にも美しい料理が整然と盛り付けられていて、季節感を大切にした和の美しい料理が、二人の目を楽しませた。


まず最初に、炭火で丁寧に焼き上げられた鮎の塩焼きが運ばれてきた。香ばしい匂いが食欲をそそり、鮎の表面はパリッと焼け、程よい塩加減が口の中で広がる。鮎の身はふっくらと柔らかく、脂が程よくのっていて、口に入れるとその風味に自然と笑顔がこぼれた。隣には、新鮮な野菜の付け合わせや、色とりどりの酢の物も添えられていて、どれも絶妙なバランスで美味しい。


「すごく美味しい…」と莉子は思わず言葉を漏らし、鮎の焼き加減に感動している様子だった。里子も頷きながら、野菜の歯ごたえや、酢の物の程よい酸味に満足げに笑った。お互いに一口ずつ取りながら、「これ、ほんとに贅沢だよね」と声を掛け合うのが心地よい瞬間だった。


その後、次々と運ばれてきた料理もまた、食欲をそそるものばかりだった。小さな土鍋に入った熱々の味噌汁がふわりと湯気を立て、寒い日には嬉しい温かさが心まで染み渡る。お刺身は新鮮で、色とりどりの魚が美しく並べられ、その鮮やかさに二人はしばし見とれた。


「ほんと、こんなに手が込んでる料理が出てくるなんて…」と里子が感心しきりだった。莉子も頷きながら、「お腹いっぱいでも、まだまだ食べられそうだよね」と言いながら、箸を進めていった。


食事の間、二人はたくさん話しながら、時折笑い声が部屋の中に響いた。温かい料理と共に、心温まる会話が続き、外の冷えた空気との対比が心地よさを倍増させた。


「こんな幸せな時間、また過ごしたいね」と莉子が微笑んだ。その言葉に、里子も優しく頷きながら「うん、また来ようね」と答え、二人は食事を楽しみながら、心がほっとするようなひとときを共有していた。


食事が終わると、二人はゆっくりと部屋に戻り、外の雪の音を聞きながら温かいお茶を飲んだ。窓の外では、降り積もった雪が静かに夜の静寂を演出しており、温かい部屋の中でのひとときはとても心地よいものだった。


「今日は楽しかったね。明日もいっぱい楽しもう」と、莉子が言うと、里子も頷きながら「うん、明日はどんなことが待っているのか楽しみだね」と答えた。二人は、これからの旅に思いを馳せながら、心地よいひとときを過ごした。

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