第5話

朝日が窓から差し込み、莉子は爽やかな夏の朝を迎えていた。今日は家族と一緒に海水浴に行く日だ。ベッドを抜け出し、莉子は早速海辺に行く準備を始めた。リュックには水着、タオル、日焼け止め、そしてお気に入りのビーチサンダルを詰め込み、海に向かう期待に胸を膨らませていた。


「おはよう、莉子ちゃん。今日は楽しみだね!」母がキッチンから笑顔で声をかけてきた。朝食を済ませ、家族全員が海に向けて出発する準備が整った。父は車のトランクにクーラーボックスやビーチチェアを積み込み、兄は自分のサーフボードを持って準備万端だ。


家族の会話や笑い声が溢れる車内で、莉子は窓から流れる風景を楽しみながら、海の楽しさを想像していた。道中、波の音が遠くから聞こえ、やがて海の香りが車の中にも漂ってきた。


到着すると、青い海と白い砂浜が広がる光景が広がっていた。莉子は目を輝かせながら、早速海に向かって走り出した。波が足元に優しく触れ、ひんやりとした感触が心地よかった。


「莉子ちゃん、こっちで一緒に遊ぼう!」妹が呼ぶと、莉子は笑顔で駆け寄った。妹と一緒にビーチボールで遊びながら、波に足を取られた瞬間の笑い声が海辺に響いた。弟と兄は砂の城を作り始め、全員で協力して大きな城を完成させるのが楽しかった。


昼食の時間が近づくと、クーラーボックスから取り出した冷たい飲み物やサンドイッチをみんなで囲みながら、しばしの休息をとった。海の上に浮かぶ帆船や、遠くで泳ぐ家族の姿を眺めながら、楽しい会話が続いた。


午後は、兄と一緒にサーフィンをする時間が訪れた。最初は不安だった莉子も、兄の指導を受けながら徐々に波に乗る感覚を楽しむようになった。波の上でのスリルと爽快感は、普段の生活では味わえない体験だった。


夕方になり、日が沈みかける頃、家族は砂浜に座って夕日を眺めた。空がオレンジ色に染まり、海面が金色に輝く。日焼けした肌と心地よい疲れ、車の中で窓を開けて潮風を感じながら、莉子は心の中でこの一日をじっくりと噛みしめていた。

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