規制され過ぎな世界で、思うこと

白鷺(楓賢)

本編

近年、「コンプライアンス」という言葉があらゆる場面で取り上げられています。企業の経営から個人の行動に至るまで、法令遵守や倫理の厳守が強調されるようになりました。コンプライアンスを守ることは、確かに社会の秩序や公正を維持するために重要な役割を果たしています。しかし、私たちが現在直面しているのは、この「守るべきもの」を過剰に意識するあまり、何でもかんでも「規制」し、即座に「ダメ!」と決めつけてしまう風潮ではないでしょうか。


たとえば、新しいアイデアや取り組みが提案されたとき、真っ先に「それはリスクが高い」「問題が発生するかもしれない」という理由で排除されることがあります。もちろん、リスクを軽視することはできませんが、すべてをリスクの観点からのみ評価することで、学びや挑戦の機会が失われてしまうのです。私たちが本当に目指すべきは、ただ規制を強化するだけではなく、どうすればそのリスクをうまく管理し、取り組みを成功させるかを考える姿勢ではないでしょうか。


過剰な規制は、結果的に私たちの社会を硬直化させてしまう恐れがあります。何事にも「ダメ!」というラベルを貼り、進歩や発展の芽を摘み取ってしまうことは、まるで温室で育った植物が外の厳しい環境に耐えられなくなるようなものです。自由な発想や創造性が奪われることで、新しいアイデアや革新が生まれなくなり、社会全体が停滞してしまう危険性があるのです。


実際、歴史を振り返ると、時代を切り開いてきた多くの偉大な発明や発見は、リスクを恐れず挑戦し続けた結果として生まれています。彼らがもし、当時の規制や常識に縛られていたならば、私たちが今享受している多くの恩恵は存在しなかったかもしれません。だからこそ、私たちは規制の重要性を理解しつつも、柔軟な思考と挑戦する心を失ってはいけないのです。


もちろん、規制は社会の安全や秩序を守るために不可欠です。しかし、私たちはそれを過度に強化し、すべての自由な発想を抑え込んでしまうようなことがあってはならないと思います。規制は、あくまで人々が安全に挑戦できるための枠組みであるべきです。その枠組みの中で、どれだけ自由に考え、どれだけ新しいことに挑戦できるかが、私たちの未来を明るくする鍵になるのではないでしょうか。


コンプライアンスの厳守は必要ですが、それに固執するあまり、社会全体が硬直化してしまうことのないようにするべきです。私たちの目指すべきは、規制の中でも自由な発想が生まれ、成長が促される社会です。そんな社会を作り上げるために、私たちは今一度、コンプライアンスの本質を考え直す必要があるのではないかと強く感じています。規制と自由、そのバランスを見極めながら、より豊かで成長する社会を築いていきたいと思います。

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