は行

薄暗い、朝を迎える、始まりに、

憂鬱な、褪せた今日を、逃げるよう、

灰色の、空を切り裂き、飛んでいく、

飛行機の、機影追いかけ、潜り込む。


は「灰色」



閉め切った、厚いカーテン、通過して、

薄暗い、部屋の中で、一人きり、

くるまった、毛布の中まで、届いてる、

一日を、告げる朝日の、一雫。


ひ「日差し」



ゆらゆらと、片隅ひとつ、揺れている、

夕闇に、浮かぶ人影、俯いて、

電線に、並ぶカラスの、呼び声に、

加速する、ブランコの向こう、滲んでは。


ふ「ブランコ」



星の無い、夜の窓辺、見上げては、

肌寒い、ベランダに座り、問いかけて、

宙に舞う、呼び声ひとつ、聞こえては、

帰らない、君の声さえ、解らずに。


へ「返事」



暑い夜の、湿った空気、絡みつき、

風の無い、闇を照らし、飛んでいく、

ひと夏の、思いを叫ぶ、声のよう、

蛍飛ぶ、いつかの日々は、夢心地。


ほ「蛍」

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