さ行

更けていく、夜の闇に、浮かんでる、

人工の、灯りを頼りに、読み取った、

「明日行き」、霞んで滲む、その先に、

近付いた、電車の影に、終わる今日。


さ「最終電車」



巡り来る、軌道をなぞり、飛んでいく、

衛星の、向かう行き先、分からずに、

放たれた、消えゆく光を、追いかけて、

外れゆく、宇宙の闇に、迷子羽根。


し「周回軌道」



青白い、景色をなぞり、切り取って、

一人きり、場面が変わり、去っていく、

追いつけない、影のその背に、縋りつく、

映写機の、途切れたフィルム、幻燈会。


す「スライド写真」



雪原に、広がる白の、その彼方、

太陽の、光を照らし、輝いた、

巡り来る、次の季節の、先触れに、

枯れていく、花を見守る、真昼の月。


せ「雪月花」



訳もなく、伝う思考の、その中に、

意味を知る、事すら分からず、立ち尽くす、

有りもしない、答え合わせを、待ち続け、

繰り返す、意味無き理由に、嘲笑う。


そ「存在理由」

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