第十話

     ニ十四


「?」

 福山氏が、何かを導き出した。その何かが説明できずに思案していると、

赤瞳わたしが導き出した、天使と悪魔に、気付いたようですね」

「ひとつが電磁籠なのは解ったが、もうひとつの名称が解らん」

「威力が流されない衝撃波と云うしかないですよね」

「ちょっと待ってよ」

「概念や観念は、捨てるしかないようだよ」

「そうは云っても、威力を削ぐための流れを超えて進むなんて、宇宙から降り堕ちた火球カキュウとしか、?・・・」

「そういうことだよ。月が地球の衛星なんだからな」

「もしかして、いびつな形状は、月を造り出した理由になると云うことなの? そうなると、ゴミの集合体だった地球も、宇宙の理に従って、円形になっていたことになるわよ」

「その繋がりが、1億年の神秘を生み出したんだろうな。どうなんだい?」

「人間に不可能と云われることは、宇宙人が侵略したと解説するのが講師だとしても、原子力で解るように、止めることのできないものもありますから、不可能を現実にすることは、概念を持っていては無理なんです。概念や観念を利用するならば、逆転の発想しかなく、転換するしかなくなります」

「元素~原子、原子~分子、科学者の解説は、時間の経過がもたらした経験だから、簡単ではないな。だからマイちゃんは、勝手な解釈と云ったのかもな」

「そうだった? 挙げ句の果てに、苦手な読書も克服させてくれたわよ」

「それはそれとして、流れを越える衝撃波が目指すものはなんだい?」

「地球内部の地殻です」

「爆破するから、悪意なの」

「いつか終わりを迎えるものならば、赤瞳わたしが今、終わらせられないか?と、考えましたからね」

「なんのために、そんな無茶な発想にすがり付いたんだい」

「爪弾きに対する復讐じゃないよね」

「だから、植物人間になったのかい」

「北の民族(露国など北欧神話の末裔)に、悪用去れるのを恐れたって云うの」

赤瞳わたしの中の悪意が、執念深さを発揮したようです。民族の慣習が歪められた現実に、もの申すために造り出しましたから、頭の中に閉じ込めて、図解式すら残していませんがね」

「もしかして、時間稼ぎ?って、ことなの」

赤瞳わたしの娘と、環柰さんや結界に存在する元人間たちが、人間らしい心を見極めて降臨ができるようになるまで? なんですが、どなたかの居心地に導かれて、後廻しになって終いました」

「僕のせい? その根拠はなんだい?」

「猫に守護まもられる人間なんて、概念的に無理がありますからね」

「ならば、その見込み違い発進に、問題があっただけだ。先走ったのは何故なんだい?」

「米国の大統領選挙で、露国の陰謀を通用しなくするために、ユダヤ民族が本気になりましたからね」

「どういうことよ?」

「大富豪の目論見は、ハシ? と呼ばれる発射装置の成功を見えるようにしました。億を超える無駄を排除しましたが、火星への移住などという夢は、輸送に順位を付けるのが精一杯で、天下の廻りもので解決できない仕組みには気付いていません? よね」

「そうなると、数兆円の儲けの裏は、使い捨てでは失くなるな」

「ユダヤ民族的発想だと、選ばれることが見えるよね。それでも、日本人的発想の、持っている者から取れ? として、出す換わりに優先去れるはずよね」

「日本人的発想だと、金持ちはケチ?という、観点が浮き彫りになるが、米国にも、先の先を視ることのできる人間がいても、おかしくはない。不謹慎だが、諸費用に見合う金持ちだけ?と、なるだろうな」

「民意の中の少数意見に眼を向けることのできるリーダーが、現れた?ということです。地域を国と仕切っていた過去からの進歩も、多くの部族が国になった現在は、協力できるのは先進国だけで、全ての国の参加は無理ですから、参加できない者たちが烏合之衆となります。中華から渡ったものは理想でしかなく、纏めた者が王に君臨するという認識だったのでしょう。そのために必要としたものが信心力だったから、移民としてやって来た、卑弥呼さんが負けた者を集め徒党にしたと考えられます。復活させたのが、神の意図なんです。だから赤瞳わたしは、その想いの継承を担うつもりでした」

「勝った者が威厳を保つために、卑弥呼を王と認めなかった?とするのか」

「仕返しがあり、敗けを認めるしかなかったものの、神の身内と去れる巫女としたのね。やっぱり、神により部首は分配され、強者たちをひれ伏せさせたんでしょうね」

「その時に盗んだものが、使われない部首? だったわけなんだな」

「だから、第六感だったのか」

「盗んだ?という曰くから、僧侶出身の安倍晴明アベノセイメイが浮上したとなるのだな。邪心(弱み)を隠す天皇は信じるしかなかった、となるしな」

「ただそれを、面白くなかった連中が居たはずで、後世に期待を先送りするために書き残した? ってなるのね」

「その古文書が冊子であり、インド南域の諸島(マヤ文明)の遺産として海を渡ったから、卑弥呼さんは守護まもるために姿を消した? 音信不通は謎となり、後世に判断を委ねた、とするのだな」

「霊峰富士と云われる所以ゆえん?ってなるわね。その誤差が長すぎるような気もするけれどもね」

「長すぎだとしても、古文書を遺した理由にはなるな。そして、教養として読んだのが御先祖様だから、言葉が発展した理由にも繋げられるな」

「古文書で遺される所以ゆえんは、諸葛亮孔明が、雲で災い(雨)を予測した? というものがありますから、それをお告と考えれば、予言として遺したという形で、キリスト教とも繋がりますからね。それでも、勘違いした者は居たはずで、兵法や戦法として遺したとたぶらかされた時代背景にも、繋がりますよね」

「どうして勘違いしたのよ」

「負けることの悔しさを、次回の勝利に繋げたかったんじゃないかな」

「貴方と同じ天の邪鬼だったのね? いつの時代でも、人間の本性は変わらない、ってことなんだね」

「科学的根拠に沿わなくても、人間の本質を見直すだけで、繋げられますよね」

「分割という境界線が邪魔になるから、なんちゃって科学者と、自ら枠を飛び出したんだな」

「本家は結界の中に存在するから、痛くも痒くもないものね」

「科学者と自負すると、善悪(薬と災い)の両方を発見しないと駄目ですが、なんちゃってだから片方で許してもらえる?という、魂胆を隠しました」

「と云いながら、両方を創っているよな」

「矛と盾です。副産物として、爪弾きの復讐を与える?という、曰くの着いた代物になって終いましたが、悪意が創り出して終っただけでも、無に帰される理に従うしかなくなりますから、物語もとは、神が繋げた(仕組んだ)えにしに添っていることが解りますよね」

「留学中に、ホプキンス博士に出会ったこともそのひとつ? みたいよ」

「どういうことよ? マイ」

「チェルノブイリ原発の事故が、都合よく起きるわけない?ってことよ。最悪の場合に必要なのは、神の眼しかない? って繋げないと、悪魔の衝撃波に繋がらないでしょっ」

「放射能も見えるのか」

「元の元素が見えるんだから、当たり前でしょっ。そればかりか、自らが持つ悪意と知っているから、封印するために植物人間なった?と、繋げないと、先の先には繋げられないからね」

「だから、神が綴った物語と云ったんだな」

「円満? なんちゃって科学者だからこそ、すべての人間に平等を考慮したわけなのね」

 こうの言葉に込めたものは、命の価値に違いが生じることを嫌っていた。



    二十五


「ねぇマイ」

「なに?」

「彼の経験(想像を含む)の中での、歪みとはなんなの」

「あたしも良く判らないわ。ただ、歪みの元に気付いた時、居ても立っても居られなくなったから、過去に向かうんじゃないかな」

「?」

「どうしたのよ」

「私たちを、お供にした理由が判らなかったから聴いたのよ」

「あの人は、興味の矛先が同方向な人間を好むわ。そして、お他人様は方向性のことを、正義感と呼ぶけれども、本人は照れ臭いから、正義と悪は共存するもの?と云い変えているのよ」

「いくつかの夢紀行に参じたけれども、私はいままで勘違いをしていたことに気付けたわ。立場が違うから言葉は違うけれども、主張する傲慢に気付いてほしいから、曖昧?に、応えたんじゃないのかな」

「概念や観念の必要性は、常軌を造り出す上で必要だから、義務教育にしたんじゃないかしら? 人間社会自体は、格差の象徴みたいだし、ユダヤ民族が権力とお金を結び付けた理由は、怠け者の存在を浮き彫りにしたかったからで、経済という多くのものの交錯となるもんね」

「確かに、物々交換から始まった経済に隠された曰くって、色々ありそうだもんね」

「色々? それ自体が、理解できないわ、あたしは猫だからね」

「それとなく彼に聴いて貰えないかな」

「心の準備だけはしておいてよね」

「どうして」

「耳が痛い噺は経験したけれど、心を閉ざすほどの真実かもしれないから、希望を失くすほどの現実を、つきつけられるはずだからね」

福山あなたは男だから、大丈夫よね」

色味しかいを失っても、立って居られると思うが、揺らがない自信はない。せめてもの救いとして、君がそばに居てくれるから、虚勢を張って居るだけだよ」

「言葉では伝わらないものが、本当の第六感なのよ。いにしえの御先祖様(英霊)が遺した恐怖心は、余談すら遺せなかったから曰くにしたみたい。彼はそれを、薄められた理由として、化学反応と云うわ」

「その化学反応が、当たり前?と、いうことなんだな」


 マイは容赦なく体内から、うさぎを引っ張り出し

「ねぇ赤瞳あひと

「なんですか」

「ふたりが、歪みの根本を知りたいみたい」

 ふたりが肝を据えたようで、凝視していた。

 うさぎは寸尺すこしの思考ののち

「宇宙人の噺でもしましょうかね」と、切り出した。

「宇宙人?」

「なにをびっくりしているのよ」

「だって、心の準備をしていたから」

「おふたりは今、人の形をした宇宙人を想像したようですね」

「? 違うのか」

「ではなぜ、人の形なのか? と聴かれとしたならば、どう答えますか」

「?、理想なんじゃないかしら、じゃ駄目かな」

「量子という保護のない宇宙に、人間が生存できる可能性があると、誰かに教わりましたか?」

「それは・・・」

「例えば地球上に量子が無ければ、太陽の発する光の成分に含まれる放射能に耐えるだけの細胞は持っていません。そうなると、光分解に晒されることになり、無に帰化されるでしょう。解りやすく云うと、百度を超える光は、身体を貫くでしょうね」

「貫くの?」

「衛星にしても、彗星にしても、岩石のように塊を造るのよ。地球に光を届けるために掛かる時間を考えれば、その威力は解るでしょっ」

「火傷を考えて下さい」

「熱ければ手を離すし、飛び上がって慌てるはずよね」

「それができないとしたならば、丸焦げ?ということだな」

「そして、マイナス二百度の闇に晒されるとしたならば、どうなりますかね」

「八十パーセント水分の肉体は、自らの体温で気化を余儀なくされるはずだろうし、無に還されることになるはずだよな。ならば、宇宙生命体?だとか、宇宙物質と考えるしかないだろうな」

「ならば何故、人形と想像するのでしょうかね。古代マヤ文明が高度の科学を持っていた、という記憶ですか? ならば、概念は共有するものと、考えるしかないです」

「ちょっと待って。よしんば高度な科学を持っていたとしても、それが人間という結論に達していないわよ? だから、宇宙人説が浮上したんじゃないのかな」

「だとしたら、宇宙人説が浮上した時点はいつなんでしょうかね」 

「科学で証明するはずだから、近代となるな」

「だとしたら、人間の前にあった社会自体が、宇宙生命体が持ち込んだものということになります。そうなると、なにを使って持ち込んだのでしょうか? 神々が実体を有して居た、とした方が、辻褄は会いますよね」

「主導権のための争いで勝利したのが神々という名を遺し、敗北神を悪魔とすれば、人間の本能にある記憶と、現在の善悪に繋がることは、明確になりますからね」

「その喧嘩を両成敗にしたのが、創成主と綴ったのは知っているが、証拠(科学的証明)はないよな」

「人間よりも高度な科学を博していたのですから、血に宿したんです。そして、必要に応じて引き出すために、抗体に変化するのです。それは、獣の習性ともとも云えますからね」

「ならば聴くが、抗体が効かない人間も居る理由はどうなるのだ」

「イレギュラーは憑き物と、赤瞳わたしは云います。負けたのも神であったことから、曰く?とされたのではないでしょうかね」

「共存しているわけだから、そりが合わない理由ってことになるわけね」

「それが、歪みの原因と考えています。因みに、なにがあったか未だ解りませんが、地球を脱出した者が居たから、人という概念を共有している可能性があります」

「知り合いの大富豪が、夢に観て居るから、人の本能に刻まれているもの、と考えているのね」

「米国系ユダヤ民族の中でも、イレギュラーが起こっていてもおかしくはないですからね」

「地球脱出論は解るが、どうして今なんだい」

「今から初めて措かないと、間に合わない?という、判断材料があったのでしょうね」

「金に不自由をしていないから、時間的判断だろうな。金持ちの道楽というわけでもなさそうだしな」

「お他人様の個性ほど、厄介なものはないわよ」

「それでも、コロナ渦で判るように、血に隠されたものがあり、遺伝子というメモリーカードの中に収まっています」

「抗体?ってなるみたいだけれども、敵とみなされる細菌やウイルスをどうやって判別するのよ」

「防衛本能があることは、自らを殲滅させるものを蓄えていることを教えています。それを科学反応と視るならば、元素自体を変化させるよりも、合成の仕方になにかを隠している?と、なりますよね」

「隠されているから、医師やカウンセラーが探すのだな。同じ人間なのに、なにも知らされていない理由は、自己破壊を恐れているのかも知れんな」

「たったひとつの身体でも、移植という選択肢は生まれています。誰も知らない苦労があることは、自らの命をした事実がありますから、尊い信念です。それを我がものにしたのが、権力だったのです」

「その権力欲しさに悪意は拡がり、力を得た者が、悪の権化と成ったのね」

「いつしかそれらが、忖度となったのは、底辺からの脱出となったのね。そして、仕組みに盛り込まれたから、権力者は野放図を極め、格差は確立されたというのが、経緯なんだね」

「永い時間を必要とした理由と云うことだな」

赤瞳わたしが、想いを重ねる理由としたことが、悪用された結果となりました。だから、その結果の先に未だ結果がある?とすれば、変えられない事実を矯正しようという意識になるように、想いを込めたのです」

「逆に向き始めた?と、騙されていたことに気付いたから、地球を道連れにするつもりで、流れに逆らう衝撃波は生まれたのか。だからと云って、万民が靡くとは考えられず、楓花ふうかさんと環奈さんに託し、自分より若いわたしたちに見守って欲しい? または、知っていて欲しいから話すのね。赤瞳あなたがわたしに云わなかった理由が知れて、ちょっとだけ得した気分だわ」

「何故云わなかったんだい」

「猫招きは幸運を呼ぶ?と、されていますから、最期まで行くのか判らないことに付き合わせる理由だけは、云っておこうと想ったからです」

「親しき仲にも礼儀あり、ということだな。それでも理由が明確になったのだから、やる気も俄然と上がったよ」

「神のように、存在すら消すことのできる術は持っていませんからね」

「赤瞳は、どうでも良いことに心血を注がないことは判っていたけれども、当たり前を無くすわけでもなく、かといって神に頼ることもないから、理解しがたいけれど、信念は曲げないわ。口にしないことはできないことと感じていたけれど、違ったみたい。おふたりが大切な友であることは、解ったよね」

「見直した?と、云うべきかも知れんが、水臭い。一般人の僕たちは鼻が効かないが、理解する知恵は持っているつもりだ。解らないならば、説明して欲しいよ」

「答えにするべきか?という判断ができないもんね。まさか、地球ごと失くすなんて考えていなかった。それだけの覚悟なんて、あって欲しくないけれども」

「云われてみれば、覚悟の基準とは、個人に委ねられている。その境界線を曖昧にしているのが、日本人なのかも知れん。善くないことは知っているが、どうにもできない?という誤魔化しを言い訳にしていたことが恥ずかしい限りだがな」

 福山氏はそういったが、誰もが存在を主張する現在に、足許を確認することなんて、無いに等しい。

 立場を主張する者でさえ、死んだ者をお他人様にする現代は、死と云うものを軽んじ、責任逃れに終始する。

 躾は教育に準ずるものの、教育制度のないいにしえは、置き去りにされた感が否めない。  

 妄想ごと遺物とされた感性は、行き場を失くした瞑想になって終った。

 時代が求めるものは、形を成しておらず、希望と理想は同一化され、夢と自由は云っただけで消えて終う。

 人間が造り出した世の中でさえ、責任を負う人間はいない。ただ消えて終う運命は、人間が造り出した真実である。囃し立てる野次は、国を代表する機関でも興り、すがり付くものさえ奪われた社会だから、光さえ錯覚かも知れない。それで善いのか?という判断も、野次に似た喧騒に欠き消されて終っていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る