第32話 夕食はアルナンドを除いて
プリムローズたちは、やっと婚活パーティーを終えてみんなを送り出してフロアの片づけを終えると屋敷に帰って来た。
みんな疲れたらしくリビングルームのソファーにどっと座り込んだ。
ダイルはそんな中アルナンドを気にして彼の様子を見てくると出て行った。
「レゴマール。お前夕食当番だろ?早く飯頼むよ」
ブレディは腹が減ったとばかりにレゴマールに催促している。
「なんだよ!俺だって疲れてるんだ。慣れない女の相手で…しかしあのフランソワって言うのは絶対男慣れしてるぞ」
「そうなの?そう言えば彼女やたらみんなにべたべた触ってたよね」
「ああ、レイモンドと結構いい感じになってたしな」
「それはそうとブレディやレゴマールはどうでした?いいお相手がいました?」
プリムローズは聞いてみる。
「まあ…ゼフェリスに来てもらえる奴としか付き合えないし…俺はプリムローズがいいんだけど」
「それ、ずるいよ。プリムローズは僕が…」
「おいおい、そんな事言うなら俺だって」
ブレディ、ピック、レゴマールが言い合いになる。
「私は結婚する気ないですので、皆さんの期待に応えることはありませんから。わかったらしっかり考えて下さい」
「「「なんだよ。ちっ!いやだ~」」」
がっくりする3人だがプリムローズはいい顔は出来なかった。
(そんなに好意を寄せてもらってすごくうれしいけど…何しろ彼らと付き合うにはゼフェリスに行く事になるし、私はしばらくは仕事をしてひとりを満喫したいって思ってるから、あきらめてよね)
だけどちょっぴり申し訳ないかも…
「そうだ!レゴマールも疲れてるし私がちゃちゃっと簡単に夕食準備しましょうか?庭で鉄板の上に乗せて焼くのでその準備お願いできます?後は火を起こしてもらうだけでいいので」
(いわゆる前世にあるキャンプ飯てきな?)
みんなの目がきらりん☆と光った。
「それお願い。優しいプリムローズ大好き」すかさずピックが言う。
「そんな事言うなら準備止めましょうか」
プリムローズは厳しい口調で言う。
レゴマールがピックの頭を抑えつけて沈める。
「いや、もう言わない。俺達は他の女性を探す。なっ、だから今日の夕食の準備を頼む」
「ああ、俺もプリムローズを困らせたりしない」
「わかって頂ければいいんです。では少しお待ちを…あっ、準備お願いしますね」
「ああ、もちろんだ」
プリムローズはキッチンに行くとソーセージやトウモロコシ、ハムやチーズをトレイに乗せた。野菜やジャガイモ、それに小麦粉と卵を水で溶いたものも用意した。
それを籠にまとめて入れる。
それに試作で作っておいたマシュマロも持って行く。
前世の吉田あかねは、こういった簡単なお菓子をよく作っていたので材料さえあれば作れるのだ。
「さあ、これを鉄板で焼けばすぐに食べれますよ」
プリムローズは材料を運んできた。
庭にはバーベキューが出来るように石が積み上げられ鉄板が乗せてあった。
「ああ。これこれ。みなさんバーベキューなんて知らないのによく準備出来ましたね?」
「いや、こんなのゼフェリスでもよくやるからなぁ」
「ゼフェリスにも騎士隊があって野戦訓練なんかでは当たり前に野営があるから」
「ああ、そうなんですね。良かった。じゃあ始めましょうか。でも、その前にダイルやアルナンドを呼んでこなくちゃ」
そこにダイルが現れた。
「アルナンドは具合が悪いので夕食は後で私が届けますので」
「まあ、そうなんですか?アルナンドそこまで落ち込まなくてもいいのに…私、彼に申し訳ないことをしたかも」
プリムローズはアルナンドが具合が悪いと聞いて反省する。
(そう言えば彼はあまり乗り気ではなかった。それなのに無理やり引っ張り出して悪かったんじゃぁ…)
「いえ、違うんです。彼は子供の頃から魔力が強くて時々魔力が暴走するんです。そうなると気分が悪くなったり熱が出たり身体が痛んだりするんです」
「アルナンドは魔力が大きいから大人になっても時々あんな風になるんだプリムローズの性じゃない。心配するな。さあ、食べるぞ」
そう言ってブレディは火を起こしてトレイのソーセージやトウモロコシを焼き始めた。
そしてアルナンドを覗いた5人で夕食を食べた。
鉄板でパンケーキを焼いたりマシュマロを火であぶって食べたりと楽しい時間を過ごした。
そんな楽しい時間を過ごしたせいかプリムローズは逆にアルナンドの具合が心配でなかなか寝付けなかった。
(もう、どうしてこんなに心配なんだろう?ダイルがいるんだし私に魔力暴走をどうにかできるわけもないんだし…なのに、どういうわけか彼の事がきになってたまらない)
そしてとうとう夜遅くひとりで彼の様子を見に行く事にする。
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