第21話 商店街のお祭りですか
ローリーとの再会はうまく行って彼女も機織りの仕事がとても楽しいと言っていた。
今度一度お茶でもしようと約束してローリーと別れるとまた縁結び処に帰って来た。
すると既にほかのみんなも帰ってきていた。
「おかえりプリムローズ。遅かったじゃない?それで守備はどうだった?」
一番に聞いて来たのはピックだった。
まさに兎が飛び跳ねるようにプリムローズめがけて来る。
「ただいま。皆さんお疲れ様です。ええ、ピック。だめだったわ」
プリムローズは首を横に振ってこたえる。
「そうだ。私はだめだったけど皆さんは?」
レゴマール。ブレディ。ダイル。ピックみんなが一斉に首を横に振った。
「プリムローズ。まだ今日は初日です。これくらいでへこたれていたら仕事なんかうまく行くはずがありません」
ダイルがそう言ってみんなを元気づける。
「ええ、そうですが…私思ったんです。この世界では男女交際って言う考え方はまだまだって言うか…だからいきなり結婚相手を募集するとか紹介するなんて言われるとみんな引くと思うんです。もう少し結婚とかではなくて知り合うきっかけをお手伝いするっていう感じで話を持って行けばうまく行くんじゃないかって」
「まあ、そうかもな。いきなり結婚相手をって言われると俺達でも考えるかも知れないな…」
一同げんなりとなる。
「そうだ!今度マルベリー通りで商店街の祭りがあるって聞いたよ。何か人目を惹くようなことをすればいいんじゃないかな?」ピックが言う。
「それっていいんじゃないでしょうか?」ダイルも賛成するが。
「でも、人目を引くようなことってなんだよ!」レゴマールが腕を組んだ。
「そうだよな。俺達そんな事したことないもんな」ブレディも真顔で言った。
アルナンドはやれやれと言うような顔で奥の部屋に入って行く。
プリムローズは思い出す。日本には夜店などと言うたぬと風物詩があったではないかと。
「アルナンドさんも聞いてください。私にいい考えがあります!」
聞けば商店街の祭りでは色々な出店があるらしい。
「いい考えがあります。今澄んでいるお屋敷って皆さん少し恐いイメージを持ってますよね?だから屋敷をイベント会場にしたらどうかと、恐い人形を置いたり、恐ろしい音や火の玉、いきなり冷たい風が吹いて来て、ひたりと水がしたたり落ちて来る」
(そうよ。みんな水、風,火とか出せるんでしょ?それを行かせば人を集める事が出来るしそこで縁結び処の案内をすれば…)
「どうやってそんな事をするんだ?」
「もう、皆さん出来ますよね?火の玉とか耳元で風を吹きかけるとか?」
「ようするに人間にいたずらしろって事だよね?楽しそうじゃん。やろうよ」
乗って来たのはピックだ。
「ったく。ほんとにそんなので人が集まるのか?」アルナンドはめんどくさそうにつぶやく。
「アルナンドさんにはローリーの案内役をお願いしますね。彼女は耳が遠いので誰かが一緒でないと、アルナンドさんならピッタリだと思いますよ」
「ローリー?ちょっとそれ誰?プリムローズ詳しい話を聞かせろ」
食いついたのはレゴマールとブレディ。
プリムローズは今日の出来事を詳しく話す。彼もまんざらでなさそうだったと言ったのでその後は大変な騒ぎになった。
こうやって今度の週末行われる祭りにお化け屋敷をする事になった。
もちろん、出店にも協力する。
庭先でかき氷。これはもちろんアルナンドの担当で。
線香花火を作る。(これはダイルとレゴマールとで作ってもらう)この国には火薬があるのでそれを使う。
「さあ、急がないと時間がないです。皆さん手分けして頑張りましょう」
プリムローズはみんなに掛け声をかけた。
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