第49話 すみれ先生とのデートで押し倒される

「くす、来たわね。こっちよ」


 日曜日になり、拓雄はすみれとの待ち合わせ場所である隣町の駅前に行き、彼の姿を見たすみれが手を振って拓雄を招く。


 早速、担任のすみれとデートする事になってしまい、足取り重く彼女の元へ向かう。


「時間通りね。褒めてやるわ。てか、何で帽子被ってるのよ?」 


「えっと、顔を見られると色々とまずいんじゃないかと……」 


「ふーん。若くて美人の女教師が教え子とデートしてる所を見られたら、クビになるから、顔を隠すと。ガキの癖に随分と気を遣ってくれるじゃない」


「うう……」


 と、帽子を深く被っていた拓雄の頭を撫でながら、褒めているのかけなしているのかわからない口調で、すみれがそう言う。


 すみれはベージュのパンツに白のブラウスと比較的にラフな服装であり、化粧もいつもと変わらないナチュラルな物であったたが、それ以上に、顔を一切隠しておらず、無防備なすみれに驚いていた。


「あの、もし見つかったら……」


「ああ? 誰に見つかったらまずいと思っているのよ?」


「え? それは……」


「くす、良いのよ、別にバレたって。どうせ、隠蔽されるだけだし。ま、一応、あんたは不安なら帽子被ってなさい。じゃあ、行くわよ」


「あ、はい」


 学園の教職員や生徒に見つかったら、今度こそ、すみれも処分は免れない筈だが、そんな危機感など全くないのか、すみれは教え子の手を引いていく。


 何故、こんなに平気な顔をしているのか、理解に苦しんでいたが、拓雄も彼女には逆らえず、付いていくしかなかったのであった。




「んーーー、ちょっと調子悪いわねえ」


 まずはボーリング場へ行き、すみれがプレイするが、調子がイマイチ上がらず、スコアがあまり伸びなかった。


 しかし、それ以上に拓雄の方がスコアが悪く、すみれと差が付いているのを見て、何だか恥ずかしく思えてしまい、縮こまっていすに座っていた。


「ふん、あんた、本当にトロイわね。ボーリング苦手?」


「はい……」


「もう少し彼女に良い顔を見せる努力しなさいよ。別にボーリング得意でも、苦手でもどうでも良いけど、良いスコア取れば、印象悪くなる事はないんだから」


 と、呆れた顔をして、すみれが説教するが、そうは言っても苦手なのは仕方ない上、周囲の目が気になってしまい、ボーリングにも集中出来なかったのであった。


「ほら、立ちなさい。先生が教えてあげるわ」


「あ、はい……う……」


 拓雄を立ち上がらせると、すみれは背後から体を密着させて、胸を押し付けながら、ボールの持ち方を指導する。


 もちろん、フォームの指導など表向きで、いつものようなセクハラが目的で、胸を密着して背中に擦りながら、小柄な拓雄の体を手で弄っていった。


「あん、もう。そうじゃないわよ。全く……」


「すみません……」


「くす、しょうがない子ね本当に。先生のフォームよーく見てなさい」


 と言った後、すみれが見本を見せると、すぐにストライクを決める。




「えーっと、私、トンコツラーメンと炒飯ね」


 ボーリング場に行った後、すみれと一緒にラーメン屋に昼食を食べに行く。


「ほら、さっさと注文しなさい。ラーメン嫌い?」


「い、いえ。ちょっと驚いて」


 まさか、デートの昼食にラーメン屋に誘われると思わなかったのか、戸惑っていた拓雄にすみれがメニューを差し出すが、すみれはくすっと笑い、


「どっかお洒落なカフェとかがよかった? 先生、そういう雰囲気、あんまり好きじゃないの。それに食べたい物、遠慮なく食べたいじゃない。あんたなら、別に気兼ねする必要はないし」


「はあ」


 あっけらかんな口調で、すみれが向かい側の席に座っている拓雄にそう言い、彼もすみれの言葉を聞いて、色々な意味で彼女らしいと感心していた。


 いつも気が強くて、豪快な女性というイメージがあるが、それに違わぬ彼女の押しの強さと奔放さが逆に羨ましく思ってしまい、


「あ、じゃあ先生と同じので……」


「別にお揃いにしなくても良いのに。ま、良いわ。ラーメンは大盛りにしなさい。今、サービスで無料だし、男子ならそのくらい食べないと足りないでしょう」


 そんなに食べる方ではないので、大盛りは多すぎると言おうとしたが、すみれは構わず注文してしまい、大盛りのとんこつラーメンと炒飯を一緒に食べる。


 昼食を食べながら、すみれが他愛もない話をどんどんしていき、担任のすみれと二人きりで話して、彼女との距離がどんどん縮まっていくのを実感していったのであった。




「んーー、食べたわね。んじゃ、次、行くわよ」


「あの、どこへ?」


「ん? 良い所よ」


 ラーメン屋を出た後、悪戯っぽくそう言ったすみれの後を付いていく拓雄。


 何処に行くのかと電車に乗って連れて行かれた先は……。




「入りなさい。ここが私の家よ」


「お邪魔します……」


 すみれの自宅であるアパートであり、拓雄を自室に招き入れる。


 1DK、六畳一間の質素な部屋で、綺麗に整頓された彼の部屋の中を緊張した面持ちで入り、居間に座っていった。


「くす……えいっ!」


「うわあっ!」


 拓雄が座ると、すみれが即座に彼を押し倒して、跨る。


 そして、ブラウスのボタンを外して、胸元を大胆に肌蹴て、彼の手を掴んで胸に押し付けていった。




「ふふ、先生とセックスしようか?」


「は、はあ? んっ、んんっ!」


 とんでもない事を告げて、声を張り上げた拓雄を黙らせるように口付けを交わすすみれ。


「んっ、ちゅっ、んん……何、驚いているのよ……彼女の部屋に来たら、やることは一つでしょう? どうせ未経験だろうから、先生が教えてやるわ」


「そ、そんなの……」


「ああ? 嫌なの? あんたにはもったいない位の、巨乳美人教師様が誘っているのに」


「はうう……」


戸惑っていた拓雄の顔に豊満な胸を押し付けて、強引に迫っていく。


 このまま既成事実を作ろうとすみれは企んでおり、


「まさか、もう真中先生やユリア先生と経験済みじゃないでしょうね?」


「ち、違いますう……」


「じゃあ、先生があんたの初めて教えてやるわ。さあ、脱ぎなさい。とっとと始めるわよ」


「い、嫌ですうう」


 跨りながら、服を脱いで下着姿になっていった、すみれの問いに泣きながら嫌と答えると、すみれも溜息を付いて、


「何よ、やっぱりユリア先生や真中先生、好きなの?」


「は、はい」


「ふん、正直ね。ま、まだ少しだけ早いかしら」


 とはき捨てて、すみれは起き上がり、脱ぎかけた服を調える。


「あんたとここでするのは簡単だけど、それじゃあつまらないから、今日は寸止めよ。先生としたくなったら、改めて言いなさい。待ってるから。わかったあ?」


「うう……」


 拓雄に跨りながら、彼の股間を擦り、すみれは起き上がり、彼を解放する。


 意外にあっさり引き下がったので、拓雄も拍子抜けしたが、すみれが本気になれば、今度は拒否しきれないのは明らかであり、拓雄も生殺しのまま、彼女とのデートを終えたのであった。

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