第5話 先生達との個人授業 一日目
「ふふ、それじゃあすみれ先生が直々に個人レッスンしてあげるわよ。さ、入りなさい」
「はい……」
結局、今日はすみれが拓雄の補習をする事になり、彼女との補習の為、生徒指導室に案内される。
補習の順番はすみれ、彩子、ユリアとなり、理由はどうあれ三日続けて補習を受けさせれる事になったので拓雄も気が重かったが、断る事も出来ず、彼女たちの個人授業に臨む以外の選択肢はなかったのであった。
ガチャっ!
「え?」
「んー? あんたが逃げない様に鍵を閉めてあげたの。何か問題でも?」
「い、いえ……」
指導室に入ると、すみれがドアの鍵を閉めた音がしたので、一瞬、ドキっとして顔が赤くなる。
補習とは言え、学園でも美人と評判の女性教師と密室で二人きりになると言うのは、拓雄も自然に意識してしまい、緊張しながら、指導室にある席に座って、鞄からテキストを取り出して、補習の準備を進めていった。
「ま、色々とお楽しみの妄想をしている所、悪いけど、今日は割と真剣に補習するつもりだから。何せ、テストの点、酷かったからねー。みっちりやらせて貰うわよ」
「はい」
と、拓雄に釘をさして、すみれもテキストを開き、小テストの問題の解説を改めて始め、補習が開始される。
思いの外、真面目な内容だった為、最初は緊張していた拓雄も次第にすみれの授業に打ち込んでいった。
「この関数のグラフは……こうなる訳。わかった?」
「あ、はい」
「本当? ここ、次の試験でも必ず出すからね」
二次関数の問題の解説を、ホワイトボードに書きながら、いつもの授業以上に丁寧に解説し、拓雄もようやく理解して頷く。
普段の授業とはまた違った熱の篭った授業を受けて、拓雄も新鮮な気分になり、苦手だって数学も面白く感じてしまう程であった。
「じゃあ、ちょっと簡単な小テストするから。それで、今日の補習終わりね」
いつもより、真剣に自分の授業を聞いてくれたのがうれしかったのか、すみれも機嫌が良くなっており、ニコニコ顔で今日の補習でやった範囲の理解確認の為用意した小テストを配布する。
「制限時間、十五分ね。満点取ったら、先生のおっぱい触らせてあげるから」
「ぶっ! な、何でそんな……」
「何? 私のおっぱい、触りたくないの?」
「え、えっと……」
小テストの取り組もうとした所で、すみれがとんでもない事を口にしてきたので、思わず吹き出してしまったが、すみれは机の上に座り、ストッキングを履いた美しい足を彼に見せつけながら、
「先生のおっぱい触りたいんでしょう? いつも席の目の前で、いやらしい目で見ているの知ってるんだからね」
「そんな事は……」
「正直に言いなさい。言えば、満点じゃなくて、九十点でも触らせてあげるから。ほら、早く」
「はうう……」
すみれが指示棒で、彼の顎を突き上げながら、まるで官能小説で男子生徒を誘惑する女教師のように、艶かしい声でそう迫ってくる。
スーツを肌蹴て、白いブラウスのボタンを外して、ボリュームのある豊かな胸の谷間を僅かに見せびらかして、幼い男子生徒を惑わし、拓雄も彼女の甘い声を聞いて、目を回しながら息を自然に荒くしていく。
冗談で言ってるのだろうと思っていたが、まだすみれはそうは言ってくれず、すみれの潤んだ瞳がとても色っぽく見え、理性と思春期の劣情が錯綜して拓雄も気を失いそうになってしまい、徐々に思考を奪われていった。
「ほら、どうなの? 早く言いなさい」
「じょ、冗談……ですよね……」
「むっ……本気で言ってる?」
と、まだ誘惑に屈しない拓雄を見て、少しイラっと来たストッキングに覆われた美脚を彼の顔に押し付けて、執拗に迫ってくる。
自分のプロポーションにそれなりに自身を持っていたすみれは何としても、胸を触りたいと言わせようと、女のプライドにかけて意地になっていたのであった。
「触りたいです、はいっ!」
「ぷっ……それで良いわ。んじゃ、頑張ってね。十問中九問正解したら、触らせてあげるから。んじゃ、小テスト始めるわよ。時間は十五分ね」
「は、はい……」
このままだと埒が明かないと根負けした拓雄が思わずそう言うと、すみれも吹き出しながらそう言い、小テストを始める。
まさか、本気では言ってないだろうと言い聞かせながらも、もし九十点以上取れたら……と微かな期待を抱きながら、小テストの問題を解いていき、その様子をすみれも昂ぶった目で見下ろしていったのであった。
「出来ました」
「はい。んじゃ、採点するから、ちょっと待っててね」
終了時間ギリギリに問題を解き終わり、答案をすみれに提出して、即座に採点を始める。
結果を固唾を呑んで見守り、一、二分で採点を終えたすみれが、
「結果発表ー♪ はい、まあまあの出来だったわね」
「あ……」
そう言って、答案を拓雄に返すと、結果は七十点であり、拓雄もがっかりした様なホッとした様な複雑な気分になっていた。
「基礎的な問題だったから、もう少し出来ると嬉しかったんだけど、今日の所はこれで及第にしてあげるわ。ま、おっぱいはお預けって事で」
「はい……ありがとうございます……」
基礎的な問題だったので、出来れば満点をとってほしかったすみれであったが、今日は時間も推していたので、ここまでにし、補習も終了する。
色々あったが、勉強にはなったので、拓雄も素直に礼を言い、帰り支度をする。
「あ、ちょっと手を出しなさい、拓雄」
「はい?」
席から立ち上がった拓雄に手を出すようすみれが指示して、拓雄が右手を差し出し、彼女が手を握ると、
「えい♪」
「へ……うわっ!」
拓雄の手を握って、そのまま自身の胸に押し付ける。
思いもよらぬ彼女の行動に思わず声を張り上げたが、すみれは頬を少し赤らめてニヤっと笑い、
「へへ……どう?」
「どうって……あ、あう……」
「誰にも言うんじゃないわよ。絶対にね。言ったら、お仕置きするから」
「は、はい……」
とすみれが念を押して、彼が頷くと、やっとすみれも手を離す。
「んじゃ、今日の個人レッスンは終了ー。ご希望ならまた付き合ってあげるから。気をつけて帰るのよ」
呆然としていた拓雄を一人残して、すみれが指導室から去っていき、拓雄も彼女のふくよかな胸を触れた右の手の平をしばし眺めて立ち尽くす。
今日の出来事は夢だったんじゃないかと思いながらも、すみれの事が一日中、頭から離れず、夜もロクに眠れなかったのであった。
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