第25話
「殿下、調査結果です」
ウィリアムは今レイリックの執務室にいる。
「ああ、ありがとう」
「……」
「どうしたの? 公爵殿」
「どうぞ」
ウィリアムはリボンで結ばれた袋を手渡す。
「これはクッキー?」
「はい。リリカが殿下にと作ったものです」
「えっ!? リリカ嬢の手作りなの!?」
レイリックは満面の笑みを浮かべる。
その様子を見ていたロベルトは(あんな笑顔俺も見たことないぞ……。良かったな、レイ)と微笑ましく見守っている。
「ええ……」
一方でウィリアムは不服そうにしている。
不本意そうだな、公爵様は。実に分かりやすい。そうロベルトは思った。
リボンと袋の間には手紙が挟まっていた。
「うん?」
手紙には一言『食べられなさそうなら捨ててください』と書かれていた。
クスッ
リリカ嬢からのプレゼントを捨てたりなんてしないよ。
レイリックは早速袋を開け、明らかに焦げているクッキーを口に入れる。
パクッ
「うんっ。美味しいよ!!」
レイリックは喜んで食べている。
その夜、、、
ウィリアムがリリカの部屋を訪ねて来た。
「レイリック殿下からのお手紙だ」
「えっ、レイリック様から?」
カサッ
そこには『美味しかったよ、ありがとう』と書かれていた。
それを読み、笑みが溢れた。
良かった。食べてくださったのね。美味しかった、なんてお世辞でも嬉しいわ。
そして、リリカは大切に手紙を引き出しにしまった。
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