第23話

「っていうことなの」

リリカはレイナに前世の記憶について話した。

「なるほど?」

完全には理解していないようだ。

まあ、こんな話し意味が分からないわよね。

「まだ理解が及んでいない部分はありますが、とりあえず信じます」

「信じて、くれるの?」

「はい。お嬢様はそのような嘘を付くような方ではありませんので」

「ありがとう、レイナ。それとこのことは他の人には秘密にしてくれない?」

「かしこまりました」

特に何も聞かず、了承してくれた。

助かるわね。

コンコン

ノック音が聞こえた。

「あら、誰かしら」


あの後、リリカは一旦公爵家に戻ることになった。このまま王城に滞在するのは危険だというレイリックの判断からだ。

「仕方ないわよね。いてもお役になんて立てないもの」

急遽、最終日のジュリアンたちが帰国する際の挨拶の場にも出なくて良いことになった、と連絡があった。


一方その頃、

「この通りに準備してくれ」

「承知いたしました」

レイリックとロベルトは執務室で作戦決行に向けた準備をしているところだ。

「……しかし、いくらあの国を放っておけないとはいえ、わざわざ協力するなんてな。今回の件を理由に戦争を吹っ掛けても今の帝国相手なら勝てただろうに」

「ジュリアン皇子はどうやらリリカ嬢に気があるみたいだったからね。距離を置かせた方がいい。彼が皇帝となれば気軽に来ることも出来なくなるし良い機会だ」

「だからといって、国王陛下や王妃様は今はいないんだぞ。勝手に協力関係なんて結んで大丈夫だったのかよ!!」

「国王陛下がいない間の政務は任されているから上手くやるよ。偶然とはいえ、リリカ嬢を危険な目に晒した連中は全て潰すつもりだよ」

ゾクッ

笑顔でそう言われ、ロベルトは寒気がした。

「レイ……お前、本当に変わったよな」

「……じゃあそういうわけだから、僕がいない間リリカ嬢の護衛を頼んだよ。本当は僕が直接護衛したいところだけどね。すぐに全て終わらせて帰って来るよ」

「分かりました。では影を動かす許可をいただけますか?」

影とは秘密裏の護衛や暗殺などの裏の仕事を主とする部隊だ。

「ああ、もちろん構わない。任せたよ」

「はっ」

ロベルトは一礼して退室した。

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