第4話 犬猫とのコラボ(前半)

 今この世界に、水野リンが卒業すると言う事実は私だけが知っている。なら、話す理由はないし、そもそもとしてこの卒業は未然に防げる。これは伸び悩んだ会社が唐突な大規模な方針変更に耐えきれず卒業しただけなのだ。私が有名になって会社の伸び悩みを解決すれば済む。


 つまりは、公には発表できないが、私の今後の目標は「大きくなって最推しの卒業を阻止する」こととなる。これが今の私の答えだ。


 ...ちなみに、普通に考えれば気づくけど、この名言を言った時まだ会社の方針については何もなかったはずなので、深い意味はじつは何もなかったりする。なので私個人が密かに推している持論なのだ。



 ===コメント===

・急に静かになったな、回想シーンでも流れてるのか?

・ばっか青春を思い返してるんだよ

・青春...?

(水野リン)・なんか私の迷言が使われてると聞いて

・草

・本人登場

・毎回思うけどどっから情報手に入れてるんだ

・この調子じゃ後一人で一期生コンプやん

・切り抜き確定演出



あかり「ん!?リンちゃん!?あっ違うリン先輩!?なんでここに!?あぁすごい推しが私の配信見てる...」



 ===コメント===

・普通に限界化してて草

・これが推しの力か

・そりゃ最推し目指して配信始めて最推し出てきたらこうなるわな

・こいつもしや推しを前にすると全ての設定を忘れるタイプの配信者?

(水野リン)・リンちゃんでいいよ〜♩ルナちゃんと太陽ちゃんとのコラボ楽しみにしてるね〜



あかり「うゔ...推しが期待してる...でもあのみえすえた地雷を踏み抜くには...ああでも推しが楽しみにしてるなら...うぅ...」



 ===コメント===

・唐突に悶え始めたな

・推しにタヒねと言われてタヒのうか悩んでる人の図

・これは草

・これは素晴らしい()

・女の子が苦しむ姿いいよね

・なんか今外道いなかったか

・ついにあかり虐の概念出てきた?



あかり「んまぁコラボするのはもう宣言しちゃったし、やるんですけどね...ぜひリンちゃんにも監視...じゃなくて見守ってくれると幸いです」


 こうして、平和(?)な第一回雑談配信(10割質問コーナー)は無事に終えたのだった。



 *



 と、思ったのも束の間


あかり「こんにちは〜、本日はよろしくお願いします」

ルナ「よろしくねーあかりちゃん、今日はいっぱい話そうね!」

太陽「今日の配信楽しみにしてるからね、よろしく」


 今日は雑談配信で(半ば無理やり)コラボのお誘いを受けたのでそのまま今日は犬猫組の猫矢ルナと犬甘太陽とのコラボ配信である。ちょっと怖いところもあるが、結構楽しみである。ついに一期生とのコラボなのだ。張り切っていこう!


あかり「どうもみなさんこんにちは!トキメク以下略!トロイメライブ二期生の琥珀あかりです!」

ルナ「こんルナ!トロイメライブ一期生の猫矢ルナと」

太陽「トロイメライブ一期生の犬甘太陽だよ!」



 ===コメント===

・んん?

・1人変な挨拶いましたけど

・先輩がいても容赦なく挨拶サボるの草

・さすが配信二日目で挨拶を捨てた女だ、面構えが違う

・一期生コラボきたー!

・コラボ楽しみ

・コラボ配信何するんだろう



 ちなみに、この2人のモチーフは言うまでもなく犬猫だが、じつは月と太陽としても描かれている、猫は古来から月の生き物とされてきたらしい。なので名前がルナなのだそう、そのモチーフにあやかってか、結構長い銀髪に三日月の髪留めをしている姿をしていて、目は青色になっている。


 一方犬はと言うと、犬って日向ぼっこするやん?という理屈でこうなったらしい、なんでや。まぁそんな感じでポニーテールにまとめた茶髪と、黄色い目を持っている。どちらともちゃんとモチーフ通りに犬と猫に見えるのがいいよね。ちなみに服装だが、どちらも同じ様にパーカーを着ている、色はお互いの髪色と一緒のものだ。さてそんなことをアバターを見て考えていた時だった


太陽「今日はね、あかりちゃんに軽く尋問してからゲーム実況していこうと思うよー!」

あかり「えっ」



 ===コメント===

・草

・えぇ

・なんか今物騒な単語が聞こえた気がした

・そんなかわいい声で尋問とか言わないであげて()

・尋問w

・あかりちゃんかわいそす



ルナ「まぁまずはそこからだよね、私も猫アレルギーについて色々聞きたいし」

あかり「えっ」

 太陽「とりあえずアレルギーがあるけど猫の方が好きなんだって?犬は?ねぇ犬は?ねぇねぇ私はどうなの?私よりもルナちゃんを優先するの?」



 ===コメント===

・でたw

・伝家の宝刀やな

・犬は寂しがり屋なんだよ

・最近犬猫どっちが好き問題がこなかったから久しぶりな気がする

・久しぶりの栄養補給

・いいっすねぇ



あかり「あぁっと...えーと...」

太陽「ねぇねぇ、私じゃダメなの?私以外がいいの?ねぇなんで?」

ルナ「うわぁ、見てるこっちがきついわ、と言うか今考えれば逆の時私がこれしてたのか...」



 ===コメント===

・ルナちゃんが悟り開いてて草

・今まで自分がしてきたことを思い出したんやな

・うーん、これは草

・と言うかこれ終わった後猫アレルギーの件でこれやるんだよな

・↑そうやん

・これは久しぶりの祭りやな



 と、この様に犬猫どっちが好きという問題に対し好きと言われなかった方はこの様にヤンデレ化する文化がある。見ている時はとても楽しかったがいざ受ける立場になると結構圧を感じる。


 確か直近でこのヤンデレが出たのは半年前ぐらいの一期生である夢見 那由多が悪ノリでやった時ぐらいなので、結構久しぶりだったりする。まぁ、とりあえずこのヤンデレ化は対処法を知っていればなんとかなる。


あかり「私は太陽のことも好きだよ、だぁいすき(萌え声)」

太陽「おぉ...いいねぇ」

ルナ「あかりちゃんこれの対処法知ってたんだ」



 ===コメント===

・ほう、冷静に対処できるとは

・この対処法知ってるのはすごいな

・えっあかりちゃんってこんな声出せんの?

・唐突な萌え声に脳を破壊されました

・なんだこれ()

・この対処法知ってるならしばらくは生きていけそうやな



 ...対処法というのは、萌え声で好きということを伝えることである。なぜこれが対処法になるのか、全くわかっていない。


太陽「よし満足した、ほら次ルナちゃんだよ」

ルナ「これの後に私やるの...?」

太陽「ほらほら、はいせーの」

ルナ「んん...猫アレルギーなんだぁ、じゃあ私のことはもういいの?まだ私...ちょっと待ってw」



 ===コメント===

・はいカットー!

・流石に無理だったか

・ついにこの手が封じられる時が来たのか

・これはしんどいやろな

・なんだこれ(2回目)



ルナ「いやぁごめん、流石にあれの後は無理があった」

あかり「ヤンデレ途中で止まったらその場で終了...そうですよね太陽先輩!」

太陽「うーん、まぁそうだね、とりあえず尋問はこんなところでいいでしょう!」

あかり「なんだったんだ」



 ===コメント===

・草

・本当だよ

・我々は何を見せられているんだ?

・これはあかりちゃんの勝利

・これは草



 と、謎の茶番を終わらせたところで本題のゲーム実況へ入っていく。


太陽「ということで今日やるゲームはこれ!新神!」


 新神、知ってる人は知ってるだろうだいぶ有名なゲームで、オープンワールドを舞台としたアドベンチャーRPGだ。7つの属性をうまく使って戦うゲームらしいが、詳しくは知らない。


太陽「いやぁ、本当はワルクラでもやりたかったんだけど、多分そのうち運営から通告来ると思ってね」

ルナ「「まぁワルクラは二期生も一斉にやり始めるだろうしね」


 ちなみに、ワルクラは四角いブロック状の世界で自由に探索や建築をするというゲームなのだが、これのサーバーの管理はトロイメライブ運営が行なっている。なのでおそらく勝手に進めるわけにはいかないだろう。それを踏まえた上でこの犬猫組がやっているマルチもできるゲームといえば新神になったのだろう。


あかり「あー...やったことあるけど大丈夫?」

太陽「えっ、そうなの?」


 いやだって前世で真似してやってましたし、とは言えないので適当に濁す


あかり「まぁちょっと気になって、でもそんなやってないですよ、大体の世界観しか知りません」

 

 嘘です全ストーリー、なんなら未来のストーリーまで知ってます


太陽「んまぁそれだけならいいか、とりあえず始めてみよう!」

ルナ「初見の戸惑う反応が見たかった...」



 ===コメント===

・あー新神か

・ワルクラやないんや

・ワルクラは運営管理やし

・新神どうなるかなぁ

・新神プレイ済みなのか

・ルナちゃんすっごい落ち込んでて草



 と、いうことで知ってる内容を頑張って初見の反応で頑張って演じた。結構疲れた。


あかり「これがその世界だね、やっぱオープンワールドなだけあって広いねぇ」

ルナ「後々探索で地獄を見るマップだよ」

あかり「7つの属性をモチーフにした国があるんだね」

ルナ「どろっどろの歴史しかない国だよ」

あかり「すっごい色んなキャラがいるんだね」

ルナ「ガチャで大体沼るよ」

あかり「さっきからルナ先輩が悟りを開いてるんだけどどうしたらいい?」



 ===コメント===

・これは草

・ルナちゃん...

・すでに新神の現実を教えようとしてて草

・あ、そういやこの人推しに20万近く使ってたな

・廃課金勢の圧がすごい()



あかり「よし、ガチャ機能解禁」

ルナ「最初は10連分配布あるからやってみたら?あ、恒常ガチャと限定ガチャの違いに気をつけてね」

太陽「恒常ガチャで出るものは全部限定ガチャで出るよ!ガチャ石だけ違うから石を使ってガチャする時は絶対限定ガチャでやろうね!」

あかり「ふーん、とりあえずその無償10連やるか、これは恒常だから特にいいのは...あ」

ルナ「は?」

太陽「おい」


 このゲーム、最高レアリティの星5は0.6%で排出される。10連で出るわけないのだが、何故か星5確定演出が来てしまった



 ===コメント===

・ふぁっ!?

・おいおいおいおい

・やりやがったぞ!

・えぇ!?

・え...?

・これはもう逃げ場ないな



 唐突な星5に緊張しながら、その結果を一つ一つ見ていく、そうして出てきた星5は...


あかり「片手剣か」

ルナ「キャラじゃないのか、よかった」

太陽「その片手剣は汎用性あるから結構後半まで使うよ!やったね!」

あかり「ふぅ、殺られずに済んだ」



 ===コメント===

・草

・キャラじゃないなら許されるのか

・これは草やな

・これでキャラだったら処刑されそうだったな

・これが限定ガチャだったら尚更処刑対象

・やったね、首の皮一枚繋がったよ



あかり「よし、じゃあ石も溜まってるし2連だけしとくか」


 ということで適当に2連だけしていく、これはただの消化試合なので適当にスキップしていく。青い画面、スキップ、黄色い画面、スキップ、いやちょっと待て今なんか星5いなかった!?


太陽「は?」

あかり「今何出した!?」

ルナ「シルエット的に...いやまさか」


 唐突に出てきた星5背景にビビりながら、即座に所持キャラ画面を開く、そこにいたのは...


あかり「あっ引いちゃってるわ」

ルナ「殺す」

太陽「殺す」

あかり「あっちょっと誰か助け」



 ===コメント===

・殺す

・殺す

・殺す

・殺意高くて草

・いやこれは殺害予告もんやろ

・一回目に配信でPON、2回目の配信で失言、3回目の配信で豪運か

・もはや才能だろこれ



あかり「あっ、しかも片手剣キャラか、この武器合うかなぁ」

ルナ「フレンドリーファイア無効にする方法ある?」

太陽「ちょっと調べてみる」

あかり「助けて殺されそう」


 限定ガチャの星5はキャラしか出ない代わりに50%の確率でしか限定キャラが出てこない。それを普通に乗り越えたのだ。なんならさっきゲットした武器は最適武器、普通にチートを疑われる運である


あかり「とりあえず先輩方落ち着いてください、ストーリーを進めましょう。」

ルナ「マルチ行ける様になったら覚えときな」

太陽「楽しみです!」

あかり「ねぇどうしよう先輩がキャラ付けガン無視で殺そうとしてくる」



 ===コメント===

・これは仕方がない

・まぁこれはしゃあないな

・犬猫組の情緒が不安定

・こんなキャラブレ起こしたのもはや初めてじゃね?

・いつもの犬猫組帰ってきてー!



 そうして、画面の向こうから飛んでくる痛々しいほどの殺意に耐えながら、ストーリーを進め、着実にレベルを上げ...ついにマルチ機能が解禁された。いや...解禁してしまったというべきだろう。


ルナ「よーし、いっぱい遊ぶぞぉ」

太陽「楽しみですね!」


 さて...生き残ることはできるのか







 ===コメント===

いやぁ、ついに一期生とも関わりをもてましたね、あ、ちなみに新神はまごうことなき原◯ですね、◯神は私が結構やってるので入れました。ワルクラの元ネタはマ◯クラです。基本ゲーム配信の時にはマイ◯ラをさせようと思っています。

あと、もちろん毎日2投稿なんてしたら過労死するので、毎日投稿で余裕があったら2投稿にします。


ということで♡や☆などモチベになるのでよろしくお願いします!それじゃまた明日

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る