第22話学校案内には敵わない

 放課後になり約束通り校内を案内することになった。


インタビューちゃんには案内があるから今日は行けないと話をして、許可ももらっているから部活は休みだ。


そう考えたら案内する約束してよかったかも。


荷物はまとめて教室に置きっぱなしにして、2人で教室を後にした。


「ね、どこから案内してくれるの?」


「とりあえずこの階からするよ。案内っていうほど案内する所ないから校内ぐるっと1周するだけだけどな」


「じゃあ、お願いします!先輩」


そう言った舞はうれしそうだった。


「なんだよそれ、いくぞ」


東から西に向かって1-1〜1-8まであるので、とりあえず東に向かって歩き、そこから西側に向かって歩くことにした。


歩き始めてすぐに質問が来た。


「この校舎って教室しかないけど、他の部屋ってどこにあるの?」


「前に行ったから分かると思うけど、部室棟が東側にあるだろ?その反対の西側にある建物、あれが実習棟だ。そこにほとんど入ってる」


「ふーん。それで、ここはなんの部屋?」


たどり着いたのは1-1の奥にある謎の教室だ。


「これは謎だ」


「何に使うの?」


「謎だよ」


「なるほど、学校あるあるだね」


理解が早くて助かる。


実際本当に謎である。物置みたいになってるけどインタビュー部はこういう部屋を使わせてもらってるのか。


「こういうところはほっといて先いくぞ」


「は〜い」


なにやらニコニコしているのでいつもよりご機嫌なようである。


4階には特にこれといって何もなく西端に到着し、そのまま階段を降りて3階に行った。


3階も特に変わり映えはせずにすぐ東端へ到着した。


「ここ知ってる」


「だろうな」


我らがインタビュー部室である。


部活中なのだろうか、電気ついていた。


「だから!何がだめなのか分かんねぇっつってるんだよ!」


何やら叫び声が聞こえた。


多分しずちゃんだろうな。


「いや、ですからこんなんじゃ読んでて何か分からないじゃないですか」


インタビューちゃんの声も聞こえるし何やら揉めてるようだが。


めんどくさいのはごめんなのでスルーさせてもらおう。


「インタビュー部ってこんな荒っぽい部活だったの?」


舞が不思議そうに尋ねてきた。


「まあ、一部…そうかも」


そう言うとなぜか舞が部室の方へ歩き出したので慌てて止めた。


「どこ行くつもりだ」


「部室に決まってるでしょ。なんか楽しそうだし」


ワクワクしていると言った表情だ。


どうしてそう思うんだろうか。


「今日は案内って言っただろ、部室はまた今度だ」


「は〜い。今日はさくに従うって決めてるからね。好きにしていいよ」


じゃあ帰らせてくれ、と言っても無駄なんだろう。


帰ることは諦めて案内を再開した。


2階に到着すると右手に3,4階と同様の物置教室があったが無視した。


そして西端に向かって歩き始めるとすぐに大きな教室があった。


「この階の教室、1つ1つが大きいんだね」


「ここは会議室らしい。実際に使ってるところは見たことないけど」


実際2階には1度通り道として利用した程度なのでほとんど行ったことはない。


特に説明もできないので大人しく西端に向かって歩き始めた。


すると舞がすぐに反応した。


「あれ、あの部屋行ったことある」


そう言って指さしたのは生徒会室だった。


「何したんだよ」


そういうと舞は立ち止まりむすっとした。


「何もしてないよ。ただ転校した時に呼ばれたから行っただけだよ。すぐ出たけど」


「そうだったか、それはすまん」


一応謝って再び歩き始めた。


改めて見るとこの階はやけに教室が広い。


平均して通常の2倍ほどはある。


その分教室は少ないが、この広さで何に使うんだろうか。


その後視聴覚室や職員室などを通り過ぎて西端へ到着した。


残すは1階だが、その1階は3年の教室と3,4階にもあった物置教室があるだけなので特に説明もなく東端へ到着した。


「さて、これで1通り終わったし今日はここまでだな」


時刻は17時。ちょうどいい時間だ。


「まだ部室棟と実習棟残ってるよね」


舞が少し不服そうにしていた。


「まあそうだけどさ、ほら授業とか何か部活入ったりしたら自ずと行くことになるじゃん」


「まあ、部室棟は前行ったからいいけどさ。実習棟とか知らないし、さぁ早く行くよ」


そう言って舞は袖を引っ張って実習棟へ向かった。


早く帰れるとか思ってたけどそんなことはなさそうだ。

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