report.3:腹臥位での自重を利用した効果的なアプローチについて
(室内で待機する主人公、しばらくの沈黙の後、ガラガラと扉の開く音がする)
★遠・中央
「やぁ、助手くん。先に来ていてくれたのか、助かるよ。すぐに施術を始めようか。」
(ヒロインが室内を歩き、近づいてくる音)
★近・中央
「あれからしばらく簡易的な施術を続けていたが、こちらは概ね欲しいデータは集まったのでね。今日からはより本格的なマッサージ。腹臥位……うつ伏せ状態での施術を行っていこうと思う。さっそく、そこのベットに横になってくれ。先程行った通り、うつ伏せの状態で頼むよ。」
(ソファから立ち上がる音。数歩室内を歩く音。ベットが軽く軋み、軽い布ズレの音)
★近・左
「さて、腹臥位での施術は非常に効果的でね。体重を利用した圧迫を行えるから、より身体の深部まで圧を与えやすくなるんだ。加えて、施術する側の負担も非常に軽減される。今までは手や指のみの力で圧迫していることも多くて、施術後は私も指の筋肉が疲労してしまっていたからな。君にとっても、私にとっても良い体位なんだ。」
「今日は肩の筋肉からほぐしていこう。頭側に周るぞ。」
(ヒロインが室内を歩き、頭の上側に周ってくる音)
★近・中央
「……よし、ではさっそく始めよう。まずは肩の辺り……僧帽筋をメインにほぐしていく。僧帽筋は首から肩、そして背中の中心辺りまで広がる、非常に大きな筋肉でな。主に肩や首の動きに使用され、これまた緊張のたまり場になりやすい筋肉になっている。故に日頃からマッサージを行うと良いのだが……あぁすまない、また話が長くなってしまったな。さぁ、実際にやっていこう。」
「まずは首の付け根の辺り……中心より少し右辺りに手のひらを置いて……」
(以後、声に合わせて体重をかけてマッサージをする音)
★近・右
「ゆっくり、体重を掛けていく……っと、このくらいの圧でどうかな? ……丁度いい? そうか、それは良かった……では、このまま背骨に沿って、徐々に下がっていくぞ……」
「ぐーっと……少しズラして、またぐーっと……ふむ、これはやはり、体重を利用できるから楽だな。君の方はどうだい? 今日は手のひらを使っているから、いつもと違って広く圧を感じるはずなんだが……ん、手のひらが温かい? それは……ふむ、人のぬくもりが癒やしを与えるとも聞いたことはあるが……いつもより気持ち良いかい? なるほど……それなら次から、あらかじめ手を温めておこうか。その方が効果が出るかもしれない。」
「背骨に沿って背中の中心、僧帽筋の端まで、ぐーっと圧をかけたら……よし、OKだ。」
「さて、さっきは背骨に沿って圧をかけていったが、僧帽筋は首、肩、背骨を点として、それらを線で繋いだような三角形の筋肉でね。全体をほぐすために、今度は首の付け根から、肩と背骨の間を通るように、斜めに圧をかけていく。……簡単に言うと、首の付け根から、肩甲骨の下の端に向かっていくような感じだな。」
「ではさっそく……ん~っと……ぐっ~と……ふぅ、どうだい、痛くはないかい……ん、良かった。このまま続けて……ん~……ぐぅ~……っと。」
「よし。続いて、再度首の付け根から、今度は肩甲骨の上辺に沿うように、圧をかけていく。」
「では、失礼して……ぐ~っと……ふむ、肩はこれまでもマッサージをしてきたが、このように背中側から圧をかけるのは初めてだな……ぐぅ~っと、圧を加えていくが……これで合っているのか? 助手くんはどうだ? ……ふむ、悪くなさそうだね。ではこのまま、肩甲骨の先辺りまで……ん~っと……んっ、ふぅ~……よし、こんなところかな。」
「片側はこれで1セットといったところだろう。次、反対側も同様に施術をしていくぞ。」
★近・左
「よし、説明は既に終わっているからな。首の付け根から背骨に沿って……ぐっ、ん~……ふっ、ぐ~っと……んっ、ふっ……んん~……ふぅ。」
「今度は斜めに、んっ、ふっ……ん、そうだ。試しに、ぐっと圧をかけた状態で……ぐりぐり~……なんて、少し、揺れ動かしてほぐしてみたり……これはどうだ、気持ちいいかい? ……ふふっ、よかった。ちょっとした思いつきだが、これも効果的なら良かった。……んっ、ぐっ、ぐい~……ぐりぐり~……よし、次で最後だ。」
「最後は肩甲骨にそって、ぐっ……っと。圧を……かけて……ふぅ。そういえば先程、手のひらが温かいと話していたが……私の方にも実は、君の体温が伝わってきているんだ。……まぁ、なんだ。存外これは、心地よいものだな……んっ、ふっ、ぐぅ~……ぐりぐり~……ふぅ。これで、反対側も終わりだな。」
★近・中央
「さて、これで今日の施術はこれで終了だ。ほんとは腰や脚も試してみたいが……我々学生には時間はいくらでもある。一つ一つ、試しながら進めていくのも悪くない。」
「さて、君の調子はどうだい? ……肩が軽くなった? なら良かった。私も、普段より疲労が少なくて良い感じだ。次回からは、腹臥位での施術をメインに試して行こう。あぁ、これまでの施術との相乗効果もないか確認したいな……」
「まだまだ試したいことはたくさんある。今日はやらなかった腰や脚のマッサージ、音や声、香りなどによる癒やしの効果、それ以外にも試したい癒やしの手法が山程ある。だから……」
★密着・右
「今後ともよろしく頼むよ、助手くん。」
★近・中央
「ふふ、なんてな。では改めて、今日の施術の感想を詳しく聞かせてもらおうか。次をより良い施術にするためにも、な?」
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