三十五話 私も大概イヤなヤツ
「よし…これでアイツらも
私…
そして彩藤さんに頼んで、あのチャラ男にも花澄さんの画像を送ってもらった。
正確には彩藤さんの彼女さんだけど。
彼女もヤツが晴政にしたことに
彼女曰く…
『アイツなんだかんだお姉ちゃんが好きだからね、自分のやった事のせいでお姉ちゃんがマサくんの彼女になったと知ったら面白いことになりそう…ふふっいいよ、私が送っとくね。あとマサくんに宜しく言っといてね』
とのこと、どうやら彼女が彩藤さんと付き合ったのは少なからず晴政の影響もあるらしく二人とも彼のことを強く信頼している。
だからあの事件の時はかなり怒ってたみたいで、その報復ができるならと喜んでやってくれた。
ちなみにあのチャラ男は自分の姉が晴政の彼女になったショックからなのかは分からないけど、どうやら乱闘騒ぎを起こしたらしく(複数に対し一人で)警察に捕まったらしい。
まぁ乱闘と言っても、相手にケンカを売ってそのまま組み伏せられたらしいから双方に大した怪我は無かったんだって。
ケンカを売られたのはウチの学校の生徒みたいで、その話は友達からも聞いた。
詳しく教えてくれたのは彩藤の彼女さんだけどね。晴政もすぐに知ると思う。
それはそうと ついさっき美智にも動画と画像を送ったから、どういう反応をするのか楽しみ…。
って私も大概イヤなヤツ…。でもいっか!だってアイツらは晴政に酷いことしたもんね。
そして次の日、学校に行くために晴政と合流する。
「晴政、おはよ!」
「おはよう」
思い切り抱き着くと、彼はそれを受け止めてくれる。そっと私の背中を撫でる手が気持ちいい。
彼と手を繋いで学校に向かう。
「そういえば、アイツ捕まったらしいね」
「だな、聞いたよ」
「…そういえば、裏木はどうするの?」
「ん?というと?」
私が気になっていた疑問だ、晴政はどうしてアイツに優しくするのかが分からない。
バイト先まで紹介しているけど、晴政としてはもう許したのかな?
そう思いその事を聞いてみる。
「許したっていうか…まぁ許したようなもんか、アイツがどう償うつもりなのかってことを見るのが一番の理由だけど」
「償う?」
彼の言葉の意味がイマイチ掴めない。分からないわけじゃないけど…。
「本当に悪いと思ってるなら、例え俺が許してようが許してなかろうが自分なりに考えて償うことが大事だと思うんだよ、口だけじゃなくて」
「そっか…」
そう言われると彼の言わんとしてる事が何となく 分かる。
要は償いを''させてもらう''んじゃなくて、償いを''する''ということだ。
「謝罪を求められて謝っても、それは本当の謝罪とは言えないだろうし、償うからどうすればいいのか聞いたり、ましてや許してくれてるからしなくて良いだなんて考えるなら、俺とアイツの関係はもう終わりだな、ただの知り合いか、それ未満になるだけだ」
つまり晴政の気持ちとしては、自分なりの誠意を自分なりに考えて相手に伝える努力をして欲しい、ということなんだろうね。
「ちゃんと考えてるんだね」
「考えてるってもな…ほとんどアイツに自分で考えろってだけだから投げやりなんだけどな」
でもそれは誰かを傷付けた者の義務だろう。
そこまで晴政が考える義務は無いと思うし、裏木が自分で悩んで答えをだすことだ。
「そういえば美智は?」
「知らん…けどそのうちまた声を掛けてやろうとは思うよ」
なんだかんだ義兄として放っておけないんだろう、優しいんだけど…やっぱり甘いね。
もっと怒っても良いだろうに。
「そういや、希よぉ…」
「ん?」
晴政がちょっと怒ったような雰囲気を纏わせた…もしかして…
「お前、莉乃とかあの男になんかやったろ」
「ひぇ…」
彼の低い声に思わず引きつったような声が出る。
やっぱりバレてた。
「と言うか彩藤さんから聞いたぞバカ、勝手に色々送りやがって」
「ごっごめんなさい…」
結構怒ってるっぽい…ちょっと怖い。
「はぁ…せめて一言くれよ、俺としては止めちゃうけどさ」
「うん…」
それはそうだろう、自分と誰かがセックスしてる姿なんて喜んで見せる人はそうそういない。
私だって事情がなければあんな事しない。
「ったく…気にするなとは言わないけど、そんなに落ち込むならやるなよな…まぁ理由は大体予想つくけど」
晴政はそう言いながら私の頭をそっと撫でてくれる。
やっぱり晴政は甘いけど…優しくて大好きなんだ。
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