第9話 改めてやるべきこと
お昼御飯の花ちゃん特製サンドイッチを摘まみながら、今後この世界を生きていく上でやるべき事をあげてみる。
まずは強くなること。
敵に襲われて勝つ事はできなくとも、せめて逃げられるくらいには強くならないと話にならない。
自衛できる力を持たなければ即お陀仏な気がする。
強くなるにはどうすればいいか。
武器の取得、何か特殊な能力の習得、あとは代わりに戦ってくれる何かを見つける、くらいしか思い浮かばない。
武器に関してはまず頭に思い浮かんだのは銃。
遠距離から敵を叩けるってのは大きい。弓矢とかもいいかもしれない。
次に刃物とか鈍器とかの近接武器。
この世界に銃ってあるのだろうか。あったとして銃なんてどうやって手に入れるのだろう。
近接武器にしても包丁や鎌、シャベルは家にあるが少しばかり心許ない。
しかし、武器を手に入れたとしても残念ながらそれを扱うのは俺である。
上手く扱えずに武器を使う前に殺されるのが落ちだ。
というかあの犬とか牛相手に近接仕掛けるとか無理ゲー過ぎる。
この世界の生物は犬と牛しかまだ知らないが、あの二種類を基準に考えてしまうと何しても無駄じゃないかと思ってしまう。
あんな犬や牛がいるこの世界で、絶滅せずに生き残っているのだから、他の生物もあれらと同等に強いと思った方がいいか。
武器の調達は今のところ現実的じゃないな。
牽制や威嚇のために携帯しとくのはありかもしれんが、まぁお察しだ。
次に特殊能力、便宜上スキルと呼ぶ事にする。
これに関してはまだ期待できるかもしれない、というかこれにすがるしかないとも言える。
スキルと言えばいっちゃんである。
いっちゃんの壁や天井をハイハイする能力は、こちらの世界に来てから発現したものだ。
何でハイハイなのか、何でいっちゃんだけなのか等色々と分からないことだらけだが、条件的には親である俺と花ちゃんも能力が発現する可能性は十分ある。
その辺の検証をしつつ、有用な、出来れば自衛手段に成り得るようなスキルの習得を目指すのが良い気がする。
そういえば、犬達もスキルっぽいのを使っていた可能性がある。
戦っている時に突然動きが俊敏になる時があり、動きの繋がりに違和感があった。
それと庭に運んだ犬の身体には怪我がなかった。
あれもあの牛の突撃を受けたにしては軽症すぎる気がする。
スキルなのかなんなのか分からないが、何かしらの方法で身体を強化、あるいは防御していた可能性がある。
その方法を知ることが出来ればあるいは…。
最後の誰かに頼るってのは…ないな。
それ以前の問題だしな。
他にはこの世界の情報を得ることだ。
強くなることも結局はこれだな。強くなる=情報か。
何も知らない右も左もわからない状態なのでなんでもいいから情報が欲しい。
出来ればリスク皆無で。
異世界ものあるあるでは、最初から主人公にナビゲーターが付いているというのがある。
それは妖精だったり神の声だったりスキルだったり、主人公の質問になんでも答えて教えてくれる存在。所謂説明キャラだ。
そんなのがあればとてもとても助かるのだが、現状そんなものはない。
だがそれに成りうる存在を先程確保した。
犬だ。
犬との意志疎通が可能ならばその辺の問題は大きくクリアできるので、是非とも仲良くなりたいところである。
ここまで考えて、件の犬が目を覚ましたようで身体を起こそうとしているのを視界の端で確認した。
さて、どうなることやら。
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