第5話 現状の把握 その2

 とりあえず衣食住が確保できていれば生きてはいけるはず。


「花ちゃんは昨日夢とか見た? 夢で神様的な何かに会ったとか、白い空間にいたとか、魔方陣で光に包まれたとか、ラノベ的展開に心当たりは?」


「ん? うーん、そういうのはないかなぁ。はじめちゃんが朝言ってた外が光ったーていうのも知らないし。大体うちのカーテン遮光性能高いから光ってもわかんなくない?」


「俺も確証はないんだけど光った気がするんだよなぁ。昨日は天気も良かったし雷とかじゃないと思うけど、気のせいだったか寝惚けてたかな」


 二人ともウェブ小説を読み漁るのが趣味で、特に異世界ものを好んで読む。

 おかげでこういう事態になってもそれほどパニックにならずにいられるのはありがたい。


 ある程度現状の把握を進めたところで、やはり気になるのはいっちゃんである。

 朝はこんなもんかと流してしまったが、普通に考えて普通じゃない。


「朝方のいっちゃんの超能力と家の周りの景色が変わってる事、あとは水と電気の謎か、それを踏まえて、暫定異世界転移って事で話を進めるけど。改めて花ちゃんは、いっちゃんみたいな特殊能力に目覚めたとかはないんだよね?」


「色々と試してみたけど、いっちゃんみたいに壁も登れなかったし、一応やったけどステータス(笑)も出なかったよ。レベルとかスキルとかないタイプの異世界転移なのかなぁ。……あ、あと関係ないかもだけど体調が凄くいいっ!」


「……調子が良くて何より。じゃあ現状分かる範囲では、いっちゃんだけが転移の影響を受けてるわけか。ちなみに俺は昨日の疲れが取れてないのか身体が少し重いかな」


 いっちゃんの能力は明らかに転移のせいだろう。

 壁や天井関係なくハイハイできる能力。

 異世界を生きてく上では微妙すぎんか?

 いや8ヶ月児にチートとかあっても逆に怖いか。


 現状この能力で困ることと言えば、気付いたら天井に張り付いていてビックリするくらいだ。

 赤ん坊がちょこんと張り付いている姿は思いの外かわいいので、乳児がいる家庭は是非試してほしい。


 他に気になるのは能力を使ったことによるいっちゃんへの影響だ。

 魔力的な何かを消費しているのか?しているならその影響は?そもそも魔力はあるのか?

 その辺はわからないな。


 いっちゃんが話せればまた違ったかもしれないが……。

 これフラグにならないよね?










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