第4話 現状の把握は大事

 俺の不安をよそに、花ちゃんといっちゃんは朝御飯をパクパク食べ元気一杯である。

 特にいっちゃんは朝から這いずり廻っていたので余計にお腹が空いたのか、離乳食をいつもの倍は食べ今は満足そうにすやすやと寝ている。

 寝顔はもちろん、天使である。かわいい。



 落ち着いたところで二人で現状の把握をする。

 仕事でもなんでも、これを疎かにすると後々やらかして痛い目を見る。


 冷蔵庫に貼ってある食材の管理に使っていたホワイトボードを持ってきて、状況の確認、疑問点などを書いていく。


 まずは衣食住。

 家ごと転移してきたので衣については問題はない。

 いっちゃんの紙オムツのストックはそれなりにあるが、無くなったら昔ながらのやり方で頑張るしかない。


 食について

 冷蔵庫に昨日買ってきたばかりの食材が入っているし、災害用の備蓄として水やレトルト食品、缶詰、離乳食等も買い置きしてあるのでしばらくは大丈夫だろう。


 そして住である。

 現在、新築庭付き一戸建て(35年ローン)の我が家は海を臨む小高い丘の上に立っている。

 砂浜までは歩いて五分ほどの距離にあり、海と反対側、家の裏側は草原がありその先は森だ。


 二階の部屋の窓から周りを確認して回ったが、見える範囲に人工物は見当たらず海と森くらいしか確認できなかった。


 そして、転移されたのは所有してる土地とその上に在ったモノだけらしい。

 土地の境界線であちらの地面とこちらの地面できっちり分かれていた。


 転移したのが土地までは分かるが、うちの境界線きっちりというのがどこか人為的なものを感じないでもない。

 何かしらの自然現象ならもっとざっくりといくはずである。

 その場合は巻き込まれた俺達も身体の半分だけ持ってかれる、とか悲惨な状況になってたかもしれないが。


 そうなると問題は、水や電気ということになる。

 当然ながら家に繋がっている電線は境界で切断されていたし、地面の下の水道管も同じように切断されていると思われる。


 なのに、普通に蛇口から水は出るし電気も来ている。

 謎である。

 電気はともかく水回りは不安だったが…、花ちゃんが平気で水飲むしトイレ流すしで、あまり気にしないことにした。


電気が来ているならTVやネットもいけるかと期待したが、そこは残念ながら繋がらなかった。

ちなみに、朝に会社へ電話しようとして気づいたがスマホは圏外だった。


 衣食住についてはこんな感じだ。



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