第3話 はちゃめちゃ




 駄菓子屋で十分身体を冷やす事ができた私が、駆け走って家まで帰ろうとした時だった。

 お店と繋がっていて、お店より高い位置にある居間で座ってテレビを見ていた駄菓子屋のばあちゃんに呼び止められたので、やった何か奢ってくれるのかと嬉々として向かったら。


「ひ。ひどいよ!あっちゃん!俺!俺!あっちゃんをバカになんかした事、一度もねえし!俺!俺!いつも!夏休みに!母ちゃんと父ちゃんのふるさとに帰ったら!この格好させられて!色々な事やらされて!できなくて!ほかの子どもにすんごく!すんっっっごくバカにされて!俺!俺!小学校だったら!あっちゃんがいるから!バカにされたってへっちゃらなのに!ふるさとにはあっちゃんがいないから!すんごく!ものすんっっっごく!かなしくて!がなじぐで!なのに!あっちゃん!うらぎっだなんで!うらぎっだなんでいうなんで!びどいや!!!」

「あっちゃん。何があったか知らんが。ここ。二人で使っていいから。ちゃんと話しな。ほれ。麦茶。飲んでけ」


 ぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん、泣き喚くてっちゃんと、ぼそぼそぼそぼそ、聞き取りづらい声量で話す駄菓子屋のばあちゃんのタッグに、私はよし駄菓子屋のばあちゃんの好意に甘えてお店のサイダー瓶をご馳走になろうひひひひひと思いながらも、どうしてか、めちゃくちゃに出てくる涙と鼻水をどうしてやろうかと頭では冷静に、顔ははちゃめちゃになりながらも、てっちゃんごめんと大声で謝り続けたのであった。











(2024.8.13)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る