第2話 おバカで庶民の同盟




 にっこり素敵な笑顔を肯定だと受け取った私は、身体を大きく震わせた。

 貴公子。貴公子だなんて、そんな。


「裏切者おおお!!!」


 未だにトランポリンで大きく飛び跳ねるてっちゃんに、私はこれっきりだと言わんばかりの咆哮を浴びせた。


「ずっと私たちはおバカ庶民だからって、小学校一年の時におバカで庶民の同盟を結んだのに!貴公子!貴公子なんて!エリートもエリートじゃない!今はおバカでもその内何か才能がにょきにょき生えてくるエリートじゃない!いえ。もしかしておバカの振りだったの!?庶民でおバカの私をバカにしてたの!?ひどい!しかも!獣耳!狐耳!純白の翼!スカートにジャケット!才能がありますよって言わんばかりの要素がありすぎて!もうっこのっ裏切者おおお!!!」


 私はトランポリンから慎重に降りて、てっちゃんに背を向けて駆け走った。

 ひどいひどいひどい裏切りだ。

 駆け走って、駆け走って、駆け走って、公園からも飛び出して、私は家へと全速力で向かおうとしたが体力の電池が切れたので、昔奥ゆかしい駄菓子屋に寄ってサイダー瓶を買おうとしたがお金がない事が判明。

 そうだ、トランポリン代でお小遣いを使い果たしたんだった。


(くう。しょうがない。ここで身体を冷やしてから、家に帰ろう)


 本当はサイダー瓶を片手にアイスをバカ食いしたかったが致し方なし。











(2024.8.12)



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